【第416話】新事業モデルの建付意識と高収益実現の心得
「今度のビジネスはアセットライトでやっていこうと思ってまして…」と社長、先代の設備投資が重かった苦労から、次なるビジネスはこうした反省を踏まえて構造変革への意思を固めておられます。
新事業、会社の新たな門出にあって、次なるビジネスはどういうものにしようとしているのか…という建付意識は絶対的に不可欠です。
これを逆から見れば、これまでとはどう違うようにやっていくのか…ということをご自身で分かっていることが大切といえます。
そうしなければ、何か新しいようであっても、結局、これまでと同じであり、新しいのは「頑張り具合」といった気合の問題になってしまいます。
こうしたビジネスの建付けのことを“事業モデル”と呼び、新事業の企画にあたって大切な構造設計となります。
構造設計ですから、そう簡単には変えられないため、こうした準備段階での設計で、これからの10年が決まってしまいます。
この様な準備段階にあって良く耳にするのは、できることからコツコツとやっていこうと思ってます…という姿勢です。
まず漠然とした目標だけがあって、それに対して、私は目指していますと宣言して、後はこれまで以上に頑張る…といった覚悟を語られがちです。
もちろん、こうした覚悟も大切なのですが、そもそも論として、その目標に対してその手段が大丈夫なのかを吟味することが大切です。
大切な点なのでもう少し。こうしたコツコツ意識で目標が達成できるのでしょうか…ということです。特に目標が高かった場合、どうなのでしょうか。
残念ながら、その達成は絶対に無理なのです。意識が高まればいずれ…、などと思うかもしれませんが、無理なのです。
なぜそんなことを断言できるか…といえば、それは意識の持ち方の問題ではなくて、構造的な問題だからです。これは建付けの問題ですから、絶対に無理と断言できるのです。
実際、目標の達成は、目指すことから始めなければならないことは間違いのないことではありますが、その目標が今までよりも高いということは、次なる一歩自体をこれまでとは変えていかなければならないということまで意識が及ぶことは少ないといえます。
経営において「高い目標を掲げる」ことは大切です。ただし、その意味とは、目標レベルに見合った準備意識が欠かせない…ということです。
新事業を立ち上げるにあたっては、これまで以上に高い目標が掲げられます。目標が高くなれば、その達成のために進めるべき次なる一歩が、これまでと違ってくるのです。
新事業の構築にあたって、これまで以下の新事業を目指す経営者はいないでしょう。今よりも目標が高くなるのであれば、その目標達成のために今までとは違った“構造”を考えなければならないことは言うまでもありません。
これこそが次なる一歩であり、準備意識として欠かせないことです。これまで以上に頑張る…は素晴らしい覚悟ですが、打ち手意識としては間違っていると言わざるを得ないのです。
新事業の構築、新たな事業モデルの設計にあたって、大切なのは次なるビジネスがこれまでとはどう違うのか、どう変えていくのか、どういう建付けにしていくのか…というのが本当の意味での挑戦といえることです。
高い目標というのは、あくまでも目指す意識の指標であって、その目標を掲げたことで今を変えていくことが挑戦の実体なのです。
高い目標を掲げることで、今のままでは達成できないことが分かり、そのために新たなビジネス構造に生まれ変わっていくことに挑む…。いわば「発明」に挑まなければなりません。
これが新事業構築の心得であり、単に高い目標を掲げて今よりも頑張る…とは違うということを分かっておくことがとても大切です。
新事業は今と何が構造的に違いますか?
高い目標を達成するためにどんな発明に挑戦していますか?