【第413話】ファンマーケティング・キラキラ情報発信の愚策
「実はあの時、否定されたようで少しムッときたのですが、今なら良く分かります」。
とある観光業、webサイトや熱心なsnsでの情報発信にも関わらず、そのキラキラ感に反して、経営状況が振るいません。
新たな設備投資と同時に、販売単価も更新する必要があり、そのためには「何かを変えないと――」との漠然とした不安を抱えておられました。
面白いことに、ビジネスで本当に大切なことに限って誰も教えてくれません。それもそのはずです。これは悪気があるのではありません。経営者とは独立自尊です。ですから、「彼にも考えがある」ということで、相手を尊重してのことなのです。
そもそも、正解などない世界で何が成功するかなどやり切ってみなければ分かりません。実際、売れ始めるまでに10年かかった20年ロングセラー商品…といった逆説的な商品が多いのも事実です。
ただし、根本のところで間違っていたとしたら…。それは何年続けようと上手くいくはずがありません。
その根本部分とは、商売上の立ち位置です。昨今、特に多い立ち位置の間違い方には共通点があります。
それは、「ファンづくり」という販売普及上の考え方の問題であり、その情報発信が「キラキラ系」になってしまうことです。
例えば、観光業で「僕たちはこんなに楽しいことしてます! あなたも加わってみませんか?」というキラキラ情報発信です。
これはどういう立ち位置から生まれているのか、ということを考えてみていただきたいのです。
このキラキラ情報発信が問題なのは、ビジネスが、興行、催し物の構図になってしまうことです。
大切なことなのでもっと言えば、自分たち側が主役で、お客様はそれを見にくる側、いわば観客、ファン…従属的な立ち位置であるということを発信してしまっているのです。
世の中、日常的に目に見えるのは、こうした興行のような表舞台の部分が多いのも事実です。このため、こうした目に見えることに影響を受けて、ビジネスとはこういうものだ…と思い込んでしまうのも無理はありません。
そうして、ご自身が表舞台の主役になろうと頑張ることも、これはこれで間違いではありません。
ただし、そうした立ち位置というのは、ビジネス界において“ごく一部”だということを知っておかなければなりません。
多くのビジネスは、お客様に貢献することで成り立っています。立ち位置を謙虚に考えるならば、お客様が主役であり、それを盛り立てるのが我々の仕事です。
この、ほとんどのビジネスがお客様に貢献することで成り立っているという根本部分を誤解してしまえばどうなるか…ということです。
ただし、お客様への貢献について自分たちならこうできる…という主張は大切です。この主張にこそ独自性、オリジナリティが宿ります。
一見、地味に見える主張、情報発信かもしれませんが、こうした主張には不思議な力が宿っています。
このため、分かる人には分かるのです。聞こえるべき人に聞こえます。ですから、そこを分かっていれば本物のお客様からお声がかかるのです。
ビジネスとして、興行的にお客様を広く集めようとするのか、本物のお客様と巡り合おうとするのか、その情報発信の姿勢が、ビジネスの立ち位置を物語っていることをお忘れなく。
本物のお客様に向けて情報発信していますか?
キラキラせず、自社独自の貢献を叫んでいますか?