【第403話】ビジネスでその他大勢から抜け出す“違い”を生む思考法

「新しいことを考えないといけないと思うと、どうしても奇抜になってしまったり、逆にユルい方に振ってしまったりでしたが、“違い”を生むということのパターンが分かりました」とプロジェクトリーダー。

 

新商品、新サービス、新事業…、こうしたビジネスの新しいを考える際、どうしても陥ってしまいやすいパターンがあります。

 

それは、提供価値の根本を新しくして“違い”を創ろうとしてしまうことです。大切なポイントなので補足すれば、例えば「揚げない天ぷら」といったことです。

 

いかがでしょうか。確かに、天ぷらは揚げるものという概念を覆しているという意味で、新しいのかもしれませんが、これを天ぷらと呼べるのかという違和感が芽生えることでしょう。

 

なぜこうした違和感が生まれてしまうのか…といえば、その理由はとてもシンプルです。

 

お客様が、美味しい天ぷらありませんかと聞いているところに、揚げてない天ぷらって新しくないですか…と答えているということなのです。

 

もっと言えば、お客様に「あなたの持っている価値軸は古いのでは」と言っているに等しいのです。

 

そんなくだらない喧嘩を売っている暇があったならば、経営者として探求すべきは天ぷらの美味しさであることはいうまでもないでしょう。

 

この王道の探求を捨てたならば、ビジネスは価値ビジネスから外れて価格ビジネスでやっていくしかありません。他社よりお安い…がウリのビジネスに堕ちてしまいます。

 

物事の概念や定義といったことを変えることで、新しいビジネスが生まれる…という考え方もあるでしょう。

 

確かに、ビジネスのルールを変えることができたならば、そのゲームを有利に進めることができるようになることは間違いありません。

 

ただし、それはお客様の求める価値が、こちら側が提示したルールに合わせて変わってくれるのであれば…ということです。

 

つまり、お客様が天ぷらは揚げてなくても天ぷら…とお考えいただけるかどうかに懸かっています。このため、営業活動は啓蒙的になりがちです。

 

こうした基本的な概念への訴求、言葉の定義を変えるようなアプローチというのは、奇抜以外の何物でもないことは言うまでもないでしょう。

 

こうしたアプローチが奇抜でしかない理由とは、天ぷらの美味しさを探求する心を諦めていますと叫んでいるからです。奇抜、斬新、面白い…けど、そこに代金を支払う理由は生まれません。

 

ちなみに、ビジネスにおける価値提供とは、実のところ価値自体を直接的に提供しているのではありません。

 

お客様が求める価値を手に入れることができるような手段を提供しているに過ぎないのです。

 

この謙虚な認識が、新事業、新商品、新サービス…の企画開発に携わる者としての心得と言えることです。

 

それならば、企画開発者として探求すべきは、お客様が求める王道的な価値に対して、それを手に入れることができるような“新しい”手段を提供することのはずです。

 

この新しい手段こそが、新しいビジネスの正体であり、お客様に新商品の“違い”を感じていただける核となる部分なのです。

 

お客様に喧嘩を売るような新しい価値軸の訴求よりも、お客様が常に求め続けてきた王道的な価値軸にしっかりと対峙して、その実現を探求していく意識が大切です。

 

言葉の定義と戦ってしまっていませんか?

王道的な価値探求の先に“違い”を求めていますか?

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