【第396話】経営のステージを上げるための出発点

「諸々と面倒もあるのですが、この時間は楽しいんです」と社長。厳しいことをお伝えしているプロジェクト会議での嬉しいお言葉に、こちらも胸が熱くなります。

 

ここで、楽しい…とは、単純に楽しい、笑える、面白い…といったこととは全く違うことです。

 

現実的には、頭の中をフル回転させながら、眉間にシワを寄せて、う~ん…となっている状況です。

 

当然のことながら、経営を加速させようとすることはエネルギーの要ることです。特に、もう一段、質的に経営を持ち上げようとするならば、それはとても大変なことです。

 

どのように大変かといえば、これまでと頭の使い方を変えていく取組みだからです。言うならば、脳ミソの神経回路を組み替えていくような、負担のかかるプロセスといえるでしょう。

 

ちなみに、カイゼンといった日常業務を更新していくことも大切なことです。こうした地に足の着いた日常業務のカイゼンがあって初めて経営が成り立ちます。

 

逆から見れば、日常業務、やり方のレベルが回っていないような状況であったならば、それは、まずそこからやりましょう…というのが経営計画の中心になるということです。

 

そうではあるのですが、こうした日常業務、やり方のカイゼンだけで未来が拓けるはずもないことは、言うまでもありません。

 

そういう意味で、やり方レベルの向上と平行して、考え方レベルを更新していくことが大切なのです。

 

そもそも、経営者の頭の使い方には二つの階層があります。それが、「やり方」と「考え方」と言われているものです。

 

大切なことなので補足すれば、「やり方」とは日常業務の“運営”といえること。「考え方」とは“経営”と呼べることです。

 

そういう意味で、やり方レベルの運営というのは、人の労力を現金化している状況であり、そこから生まれる売上というのは本来持っている労力が等価に現金化されたにすぎません。

 

一方、考え方レベルの経営というのは、労力や設備を投入した以上の価値を生み出すことを目指しています。

 

これがいわゆる付加価値というものであり、それは「やり方」ではなくて「考え方」から生まれるものなのです。

 

このため、経営のステージ、経営の質的な向上を目指すならば、「考え方」のレベルで準備を進めることが大切です。

 

これらの経営は、どちらも成長発展をめざしてはいますが、その中身は全く異なります。

 

付加価値から売上利益を生もうと考えるのか、労力の現金化から売上利益を集めようとするのかの違いです。

 

ハッキリと言えることは、経営における独自性とは、「やり方」ではなくて「考え方」のレベルだということです。

 

そして、「考え方」のレベルで経営を更新しようと目指すならば、経営で考えるべきテーマ自体をご自身で考えることから始めると良いでしょう。

 

研究者は、研究テーマ自身をご自身で決めることから研究が始まります。

 

当然のことながら、世界的な研究のトレンドといったことはあるものの、そうした中にあっても、自らが対象とする研究テーマをご自身で決定することが研究の出発点なのです。

 

これを言い換えるならば、ご自身が出題者となりその解を求める姿勢といえるでしょう。

 

決して、どこかの誰かの出題に対して、これは解けそうだから…と、飛びつくようなものではありません。

 

答えだけを探そうとせずご自身で出題していますか?

経営の研究者として「考え方」で勝負しませんか?

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