【第385話】敗退の原因は販売不振ではなくコンセプトの未熟さである

「コンセプト…先週の続き、もう少し聞かせて」と嬉しいご連絡をいただきましたので、ご期待に応えまして。

 

改めて、コンセプトとは直訳すれば概念ということです。よって、ビジネスにおけるコンセプトとは、「ご自身のビジネスを概念的に説明したもの」ということです。

 

ではなぜ、ビジネスの成長発展にコンセプトが必要不可欠なのでしょうか。まずはこのことについてお伝えしておく必要がありそうです。

 

なぜ、ビジネスの成長発展にコンセプトが必要不可欠なのか…、それは、兎にも角にも、ご自身のビジネスに意志を宿すということに尽きます。

 

こうした意志を「何となく」ということではなくて、言葉として明確にしておくことで、ご自身が何をしようとしているか、我々のビジネスとは…について語ることができるようになりますし、お客様に何を提供しようとしているのかが分かるようになるということでもあります。

 

そういう意味で、コンセプト不在のビジネスとは、意志を持たない単なる無機質な活動になってしまうということです。

 

ただし、これがとても難しいのです。このため、多くのビジネスで、コンセプトが生煮えだったり不在のままで、経営が無機質な動作的な活動に明け暮れます。

 

こうして、ご自身の気持ちに確信が持てないまま日々の活動が続き、その分野での信頼や実績といった大切なものが積み上がらないまま時間だけが過ぎていくのです。

 

コンセプトの設定にあたって、多くの失敗は、コンセプトが概念、考え方のことであることから、曖昧、詩的であったり、単なる手段レベルの説明で終わってしまうことです。

 

例えば、「be happy」であったり「天ぷらをお手軽に」といった失敗です。前者は確かに経営者の意志ではあるのですが曖昧すぎて具体性に欠けていますし、後者は手段レベルの説明であって経営の意志とまで言えるものではありません。これらはどちらもコンセプトではなくテーマと呼ぶべきレベル感のことです。

 

ではむしろ、素晴らしいコンセプトを知ることで、なるほど…と思っていただけるでしょう。

 

それならば、皆様ご存知の「ワークマン」はいかがでしょうか。ワークマンは作業着の製造販売をされていますが、現在、アウトドア、釣り、バイク…などの分野で人気です。

 

ワークマンが掲げるコンセプトは「機能性ウエア」です。ここでは、“機能性”という視点から衣服を考えています…という意志が表明されています。

 

あるいは、アウトドアメーカーとして有名な「スノーピーク」の場合はいかがでしょうか。「人生に、野遊びを。」素晴らしいコンセプトです。アウトドア、キャンプ、登山といった一般的な言葉では表現しきれない意志を、“野遊び”という言葉で表現されています。

 

あるいは、「サーモス」という魔法瓶メーカーは、商品コンセプトとして「おいしい温度」を掲げています。おいしい温度をお届けする魔法瓶です…と、魔法瓶の物理的な保温性に意志や意味を込めています。

 

企業コンセプト、商品コンセプト、ブランド別コンセプト…様々な括りでコンセプトが存在しますが、いずれも「自らが世に問う意志」、あるいは「商品・ビジネスの意味」、放っておけば無機質な、商品、ビジネス、企業活動に意志を宿し、命を吹き込むことといえる大切なことです。

 

ビジネスにおいて、コンセプトを設定するというのはとても大変なことです。自分が何をしたいのか…、こうした意志を明確化していくことだからです。

 

ちなみに、印象、感情、インサイト…主にこうした心情に焦点を当てたいわゆるブランドイメージと、ここでいうコンセプトとは、具体性という一線で全く異なるものです。多くの場合、これらが混同されてることも、コンセプト設定で迷路にハマる原因といえるでしょう。

 

コンセプト…ご自身の意志を具体的に示すこと。この際、ヒントになるのは、ご自身のビジネス、商品サービスを、意志を切り口とした“新ジャンル”で定義しようとすると優れたコンセプトが生まれやすくなります。

 

ご自身のビジネスを「コンセプト」で語れていますか?

ホームページ、パンフレット…にその“意志”を叫んでいますか?

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