【第350話】経営者に成長発展意識が絶対不可欠な理由
「次は、売上を今の倍にしていくことを目指して…」と、小鉢が並ぶ上品な和食のランチをご一緒させていただきながら某社長。その前日には「今の売上を倍にすることを目指しませんか」とのお打合せでした。
当然のことならが、事業経営の本質が売上だけで語れるほど単純なものではないことは言うまでもありません。
一方、売上が事業経営の規模感、成長発展の指標として、一つの目標になり得ることは疑う余地のないことです。
こういった企業、社長に共通するのは、今の問題点といったことに意識を置かず、売上目標という未来指標に意識があることです。
弊社では売上2倍は達成可能で現実的な目標とお伝えしています。その具体策としては、今まで1回のお客様が2回、今よりもう一度、お買い求めくだされば、売上が2倍になるといったいくつかの成長ロジックをお伝えしています。
こうお伝えして、売上の構成要素を分解して、その積み上げを考えていくと、何となく「できそうな気がしてくる」ということが起こります。
ここで、売上を伸ばしましょう…という経営計画というのは、どこか独善的で、金儲け主義のように感じられるかもしれません。
そういった“誤解”を覚悟の上で、成長発展を目指しましょう――、と必死でお伝えしています。
その理由としては、成長発展意識というものが経営者の根源的な意識として最も大切なことだからです。
その意味とは、ずばり「未来志向」ということです。
これを言い換えるならば、今の売上利益よりも未来の売上利益に期待して今日を生きているということです。
これからの稼ぎに期待しているということは、もっと成長できる可能性を信じていることを意味します。
よって、成長発展意識というのは、表面的には売上利益を伸ばすことのように見えてしまうかもしれませんが、経営者にとって最も大切な未来志向の現れなのです。
逆に言えば、そういった成長発展意識の無い経営者の下で働きたいですか…、ということでもあります。
経営者の仕事とは未来を創ることです。具体的には、新しい仕事を創ることです。
ここで大切なのは、意識が未来に向いているというのは、「未来に適合する」というよりはむしろ「未来を変えている」に近い感覚だということです。
大きな括りで、事業モデルを進化適合させていくことは大切ですが、経営環境への適合自体が目的ではないということです。
その意味で、適者生存といった環境適合論とは、どこか違うご自身で拓く未来意識を持っていただきたいのです。
未来志向とは「もっとできる」という未来への期待、自信、賭けでもあります。これが仮に「悪あがき」だったとしても、社長、経営者である以上、「悪あがく」ことが大切です。
前述の、売上倍増を目指しませんか…とお伝えしている企業の社長は、素晴らしい経歴の持ち主です。その道で確固たるご経験を積み上げてこられた方です。
このため、いわば秀才型で、意識が失敗しないことに向きがちです。今できること、今に意識があるため、結果、描く未来も今の延長線上を超えていきません。
成長発展を目指す、新たな未来を拓こうとする意識が、力ある次なる行動を生み出します。これこそが経営者の仕事であり、世の中への貢献意欲の現れなのです。
成長発展意欲のパワーを“今”ではなく“未来”に向けていますか?
まだ見ぬ未来を心に描き“悪あがき”してみませんか?