【第348話】マイナーに堕ちてしまう企業とニッチでトップに登る企業の違い

「〇〇のビジネスを始めようと思うのですが」という社長、起死回生の新事業、打ち手に出ようとするその意志は本気です。

 

新たな打ち手を繰り出していくのは経営者の仕事ですから、何とか後押しできないかと、ではなぜ〇〇なのですか…?とお聞きすれば心配した答えが返ってきました。

 

それは、「この地域でやってる人がいないから」とのこと。どうやらとある国で〇〇が流行っているとのことで、それを日本に持ち込めば当たるのでは…とのお考えです。

 

流行っているから需要はあるはず。しかし供給者がいない…。確かにビジネスにおいて需給バランス、希少性は大切な要素です。欲しいという市場があれば、その供給が少ない状況であるほど商機は高まります。

 

しかし、ビジネスがそれほど簡単なことでもないことも分かります。それは、売れるとなれば後発の参入はあっという間です。参入が簡単な商売ほど、あっという間に駆逐され、残るのはほんのわずかな企業という話は枚挙に暇がありません。

 

商売において希少性の表現として“違い”といったことが探求されます。「他社とは違う」それが選ばれる理由になり商売繁盛につながると信奉されています。

 

ただし、この“違い”には種類があって、単に“違う”だけで生き残れるほど単純なものではありません。

 

例えば、「誰もやっていない」というのが、誰にでもすぐにできるけど誰もやっていない、であったとしたらどうでしょうか、ということです。そもそも、「誰もやっていない」のはそこに需要が無いからであることは容易に想像がつくものです。

 

特に、新事業を展開しようとする際、他社とは違う、という理由で事業を構築しようとすることには大きな危険が潜んでいます。

 

まず、もっとも典型的な失敗は、主流、メジャーを外れて少数派、マイナーを歩むことで、「他社とは違う」を表現しようとしてしまうことです。

 

このように外れることによって確かに「他社とは違う」を歩むことはできるのですが、その意味とは、「主流を外れた少数派」であり、その意味でそこに集う者たちは結局みな同じ、違わないのです。

 

他社とは違う、人とは違う、誰もやっていないフロンティア…といった主張は、一見、ビジネスの主義主張として素晴らしいことのように聞こえます。

 

ところが、その結果、同じ穴のムジナになってしまうということが起こり得ます。なぜ、そうなってしまうのかといえば、そこには確固たる理由があります。

 

それは、実のところ「我々は人とは違う」といいながら、イージーな選択に進んでいるからなのです。

 

こういった新たな打ち手を考える際、しっかりと歩みを進める企業は、イージーな選択ではなく、困難な方を選びます。

 

そこで、例えわずかであっても結果を出し、選択の結果だけで生まれる“違い”ではなくて、選択の結果の先に“違い”を生み出します。

 

それが、新たな分野、新ジャンルを生むこととなり、大きな“違い”となって次なる成長の軌跡を描きます。

 

このようにして生まれた新たな分野、新たなジャンルというのが、小さいうちはニッチと呼ばれます。

 

しかし、いずれそれは大きな市場へと育っていき、その先駆者としてニッチトップという称号が与えられるのです。

 

つまり、ニッチトップとは、その市場でシェアトップに上がった企業のことではなくて、例え最初は小さくともその市場ジャンル自体を創った企業のことなのです。

 

例え今は市場が小さかったとしても、自社が取り組むべき困難に立ち向かう。この意識こそが本物の“違い”を生み出す起点となります。

 

イージーの先に“違い”を求めてしまっていませんか?

困難の先にある“違い”に挑戦してみませんか?

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