【第31話】売上の色を意識した経営とは

売上に“色”があることを意識されている経営者の方は未だ少ないようです。

 

お金そのものに色はありません。ただの数字、単なる情報です。しかし、売上となると話は別です。どうやって得た売上なのかによって色が違います。

 

その仕事を出来る人が少ない時代、つまり需要に対して供給が少ない時代の場合、腕さえあれば待っていても仕事が来ました。

 

そして、来た仕事を熟していけば、技術的に熟達することもできました。しかし、この間、仕事としては受け身姿勢が染みついていきます。恵まれた市場であることにも一長一短があります。

 

時間の経過とともに需要と供給が均衡すると過当競争になり受注量と受注単価の減少が始まります。そして、じわじわと経営が苦しくなっていく。。。

 

例え成長市場に陣取っていたとしても、それがいつまでも続くものではありません。華のIT業界でさえ今やコーディングや夜間のハード設置といった労働集約事業と見る風潮さえあります。

 

では、このような状況に陥らないために、どんな努力をしておくべきだったのでしょうか。足りている時代、これからの事業運営で最も大切なのは、自社で市場を創造していく努力を怠らないということです。

 

そんな事は当然ではないかと思われるかもしれませんが、ここで申し上げているのは販売促進の営業活動の事ではありません。御社独自の商品・サービスを通じて市場そのものを創っていきましょう、というもっと根元的な意味です。

 

実は自社で市場を創っていないケースは多々あります。例えば、法律施行に伴うITシステムの導入・更新、国・自治体の道路工事や除雪、高齢化に伴う介護サービスといったケースです。何らか対応しなければならない外因的な理由や問題があり、それに伴って市場ができるケースです。

 

こういった分野は社会性が高かったり社会問題化していたりで、市場・顧客ニーズが明確なため、事業を行うにあたり説明しやすく受容性も高い。よって、事業対象と見なされやすい分野でもあります。

 

先にハッキリとした市場がある事業分野への参入は、ITを活用したり、特定分野に特化したり、オシャレな雰囲気で展開したりと、新しい方法論での参入が典型パターンになります。先にある市場の埋め方を工夫して変えていくというアプローチです。

 

こういった市場で、一旦、地位を築けば経営の安定感は出ますが、市場自体は自社で創り出したものではないため、経営の首根っこはどこか外、例えば制度や主な発注先に握られていることになります。

 

新しい方法論を用いた参入で、その市場の高度化は果たしますが、基本的に市場そのものを創ることはありません。伸び代もロビー活動や接待を除いて自社の頑張りでどうにかなるものでもありません。ですから売上の色はどうしてもモノトーンになりがちです。

 

では、自社で市場を創っていくためにはどのような考え方で取り組めば良いか。。。その起点はとてもシンプルです。自社の能力を企画提案型の商品・サービスに創り上げていくことです。自社の歴史、目指す未来像、独自能力を結集して情熱的な商品・サービスを創り上げることです。これは色で表現すると「赤」です。

 

ただし、自社創造市場を企画提案型の商品で切り開くこと一本槍になると、映画やゲーム商売の様に当たり外れ、浮き沈みの激しい事業運営になってしまいます。情熱的ではありますが、赤だけが濃すぎて経営としては不安定です。

 

上手い経営者は企画提案型の商品・サービスを切り口に、自社独自の直販的な顧客開拓ルートを創ると同時に、これとは別の他社からの紹介ルートを活用しています。

 

つまり、同じ企画提案型の商品・サービスを複数の売り方で販売するという、販売チャネル上の工夫で事業リスクをヘッジしているのです。これを色で表現すると「青」です。情熱的な「赤」い商品・サービスを、冷静で科学的な「青」い販売方法に乗せています。

 

人間に見える光、可視光域は、波長の長さで長い方が赤、短い方が青(紫)です。この範囲の外側で見えない光が赤外線、紫外線です。赤から青まですべての範囲を事業の設計に織り込むことで、どんな色でも表現できるカラフルな事業を構築することができます。

 

御社ではモノトーンな売上に満足していませんか?

それとも、創意工夫でカラフルな売上を創っていきますか?

コラム更新・お役立ち情報をメールでお知らせします!

メールアドレスをご登録いただくと、コラム更新やコラムではお伝えしきれない情報などをメールでお知らせします。

こちらのページから是非ご登録ください。

経営者応援コラム