【第304話】経営を勝負の土俵に乗せて理想の未来を目指す絶対手順

「これが弊社のすべてです」と、ロールカーテンを上げる社長。社長室の壁一面には、経営の考え方、至近の課題、事業毎の方向性、組織…、考え抜かれて、煮込まれて…、昨日今日でできるはずもない“知恵の集大成”が姿を現します。

 

当然のことならが、このことを詳しくお伝えすることはできませんが、それ以前に…、この企業の経営がある意味で心配のないことは、お伺いする前から分かっていました。

 

その理由は至ってシンプルです。しっかりとビジネスという勝負の土俵に乗っておられるからです。だからこそ、直ちに土俵上での新しい戦い方、展開法の議論ができます。

 

実のところ、仕事柄、多くを聞かずとも、経営の状態について大方の察しがつきます。社長のお話を聞いて、いくつかご質問させていただくことはあっても、例えば、決算書といったことで細かく経営を分析する必要など、ほとんどありません。

 

なぜ、そういったことが分かるのかといえば、経営が“土俵”に乗っているかどうかとイメージしていただければよろしいでしょう。

 

経営が勝負事であるという意識に立てば、何か教科書やマニュアルのようなものに従って物事を進めただけであれば、結果が平均レベルまで持ち上がることはあっても、成功レベルと呼べるような、最低でもトップ3割、目指すトップ5%に到達できるはずもないことは、中学生でも分かることです。

 

つまり、経営者は自社の経営が勝負としてどんな土俵に乗っているのか、ということについて認識し、まずはその土俵での勝率を上げる算段を企て、その先、将来的には描く理想に向かっていくために、次の土俵に登っていくことを粛々と準備していかなければなりません。

 

こうして、勝算を上げつつ、勝負の土俵のクラスを上げていく意識が大切です。経営を伸ばそうとするならば、土俵のクラスが上がるから経営の全体が拡がっていくのだという物事の道理、順番について心しておくことが大切です。

 

そうは申せ、まず土俵にさえ乗っていない経営も多くお見受けします。勝負の土俵に乗っていない経営というのは、そこで、いつまで、どれだけ頑張っても、残念ながら物事が好転することはありません。

 

土俵に乗っていない経営というのは、勝負を避けている経営と言い換えることもできます。勝負を避けているのですから、絶対に結果などでないのです。

 

例えば、単に人と違うことを叫んだりします。これだけなら簡単なことです。単に奇抜なことを言ったり、変な格好をするだけなら誰にでもできることです。

 

経営を成長させようとすれば、御社らしい新しい価値軸を打ち出していくことが絶対的に欠かせません。土俵に乗れない経営者は、これを単に人とは違う恰好と勘違いしています。

 

少し話はそれましたが、土俵に乗って勝負するとは、ある意味で、伝統領域、確固たる思考領域で、“がぶりよつ”を組むことに他なりません。ただし、その土俵の上で新たな価値軸、新たな思想軸の進化を競っているということです。

 

例えば、プロの料理と素人の料理が一目瞭然なのは、料理スキルの差だけでなく、むしろその背景に持つ食文化や料理思想によるものです。

 

雇われの料理人が「こんな料理ができる」というスキルレベルの話と、発展させたご自身の料理思想を世に問う勝負に出て「こんな料理ができる」というのでは意味が違うのです。

 

矛盾するようですが、独自領域というのは、確固たる土俵、これまでに培われてきた文化思想の先にこそ宿るものです。何とも自分がチッポケに思えて悔しいのですが、ここに行こうとするならば、先人の知恵を学び活かすことでしか到達できないのです。

 

経営の成長発展に向けて、勝負の土俵を上げていくためには、スキルレベルを上げると同時に、新しい戦い方、新たな価値軸・思想のレベルで勝負していくことが欠かせません。

 

ここで勝とうとすることで地に足の着いた独自の思想が生まれます。そして、ここで勝つから、御社独自のアイデンティティが強くたくましく育っていくのです。

 

これこそが次なる土俵の正体に他なりません。次なる土俵とは、御社が世に問うアイデンティティ、存在意義なのです。存在意義が問われているのですから、必死にもがいて傷だらけで当然、それこそがカッコいい姿といえるでしょう。

 

今の勝負に“がぶりよつ”で挑んでいますか?

自社のアイデンティティ、存在意義の獲得に必死でもがいていますか?

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