【第303話】技術と営業がクロスして進める「営業的技術開発」のススメ

「今期の開発ノルマは、もう達成しました」と、某企業の研究所で、担当の技術者が新製品の開発状況をお話くださいました。

 

当然のことながら、技術開発というのは、これまで技術的にやったことのない領域に踏み込むことを意味するため、上手くいくのか分からないことですし、一定の成功レベルに到達させるためには、大変な努力、創意工夫を要することです。

 

ところが、この技術者は、もう終わった、できた…といいます。事業経営という視点から世の中を見ている立場として、ちょっとした違和感を覚えます。

 

これは、この技術者がスゴいのか、それともすごい研究所なのか。あるいは逆に、何か根深い問題を抱えているのか…と思ってしまいます。

 

ところで、しっかりとした企業ほど、しっかりとした計画を立てます。そして、マネジメントサイクル、PDCAといったことで、「計画どおりに進んでいるか」をチェックして、遅れていれば尻を叩く…ということが繰り返されます。

 

これを毎年、長年にわたり繰り返していくと、面白いことが起こってきます。それは、計画ができ得る範囲に収束していくという事象です。つまり、計画の挑戦度がどんどんと下がって、でき得る範囲にだんだんと堕ちてきてしまうのです。

 

これは、人間、生き物として当然の反応ともいえます。挑戦領域にあって物事が計画どおりに進むはずがありません。そのような現実にあって、計画どおりに進まないと尻を叩かれるとなれば、それは計画の方が修正されていくに決まっているのです。

 

これは、成長発展の挑戦を描くはずの計画が、策定するほどに挑戦度が下がっていって、現在の延長線上に収束していく。何のための計画なのか…、いわば「計画のパラドックス」とも呼べる事象です。

 

では、このパラドックス、悪魔のループを抜け出すためには、どうすればよいのでしょうか。

 

技術開発には、難易度、高さがあります。ちょっとした既存製品の改良もそうですし、世界的な大発明も技術開発です。そういった、一言では語りつくせない技術開発という世界観にあって、技術の高度化に意識を置きすぎると答えが見通せないために、足がすくんで「計画のパラドックス」に陥りがちです。

 

えっ、技術開発なのに高度化を目指さないの…、とお思いかもしれません。そうではなくて、目指すのですが物事には順番があるとお伝えしています。

 

まず我々、ビジネスの世界を生きる者として、特に中小企業にあって、そう簡単に技術を高度化させたり、新たな技術を習得することなどできません。予算も、人も、時間も、先立つものが常に足りません。

 

えいやっと、一念発起。頑張って、予算と人を算段したところで、単なるお勉強に終わってしまうのは、新たなビジネスの成功に必要な要素技術を高く設定してしまうことに起因します。

 

そうであるならば、考える順番は、まず概ね今の技術をベースにもっと稼げないか、もう少し発展させて新たな収益軸にならないか…と考える方が現実的です。

 

そう考えれば、技術開発としてやるべきことが見えてきます。それは、今の技術をアレンジして、新たな売上を創ることを技術開発と定義することで、計画のパラドックスを抜け出すことができるのです。

 

どんな技術を習得していくべきか…と考える前に、今の技術をどうマネタイズするか…、をまず考えるのが経営者の才覚というものです。

 

そのために、おススメしているのが、「営業的技術開発」です。

 

これは、技術者は今の技術をもっと売れないかと“用途”を考え、営業マンは今の技術をもっと高められないかと“方向”を考えるアプローチです。

 

技術者が売ろうとし、営業マンが高めようとする。これは、一般的なアプローチとは逆です。自分のことに対してハードルの高い目標を掲げようとすれば、必ず「計画のパラドックス」に陥るのですから、クロスして考えることで、新たな展望を手にすることができるのです。

 

技術の高度化よりも既存技術のマネタイズを優先していますか?

技術と営業をクロスすることでお互いを活かしていますか?

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