【第228話】商品開発に現れるプロ経営者とアマ経営者の違い

「〇〇の新事業を立ち上げようと考えてるんだけど、どう思う?」と、親しい社長から雑談交じりにご相談がありました。

 

「社長ですから、やりたいと思えば、どんどんやればいいんですよ」と申し上げたところ、「もうちょっと真面目に相談に乗ってよ~」とのこと。

 

真面目に答えていないと思われてしまったようですが、「どんどんやればいい、というのは本心ですよ」とお伝えしました。そもそも社長なのです。永い目で見れば何かをやるリスクよりも何もやらないリスクの方が常に高いのです。

 

そうであるならば、前向きな取り組み、建設的な発想、信じる道…といったことに歩みを進めていく以外ありません。誰に何と言われようと結局「やったもん勝ち」の世界ですから、どんどんやった方が良いのです。

 

その上で、お答えするならば…ということで、その努力が水の泡にならないような方向性、強みが積み上がっていくような進め方、いずれ一定の成功にいたるであろう努力の仕方、いわば「経営を高めること」についてお伝えしました。

 

まず、経営者の考え方の違いは、頑張り方に現れます。これは“稼ぐ”ということに対する認識の違いといっても良いでしょう。

 

アマ経営者は、“稼ぐ”を“売上”と考えています。そのため「売上〇億円」が誇りですし、

このため「売れそうな商品・サービス」を探しがちです。あるいは、「お陰様で従業員〇百人の所帯になりまして…」、これだけのスタッフを雇っている、給与を支払っている…ということで“従業員数”も自慢要素です。

 

このことは、社長が“稼ぐ”をどう認識しているか良く言い表しています。一言でいえば、「大きさ」に意識があるのです。ですから、組織が妙に細かく事業部制になっていたり、社名が〇〇グループであったりと、「大きく見える」ことへの意識が匂い立ちます。

 

一方、プロ経営者は、“稼ぐ”を“投資リターンの最大化”と考えています。そのため「利益率」が誇りですし、「売れる」と同時に「儲かる」に意識があります。

 

このため、売上規模の成長以上に従業員が増えてしまえば、「生産性が落ちている」と考えますし、従業員の頑張りを“稼ぎ”に変えるための「付加価値」を模索しています。

 

このことは、商品ラインナップとなって現れてきます。

 

アマ経営者は、経営に「大きさ」を求めるため、すぐに出来る仕事を手広く手掛けようとします。売上や従業員数は、どんどんと肥大していきますが、大抵の場合、売上の拡大とともに、収益性が低下していきます。

 

それには構造的な理由があります。手を拡げようとするが故に、言うならば生産性の低い「もっと簡単な仕事」に堕ちていくからです。ですから、取扱い商品・サービスは増え、従業員一人当たり売上高は下がり、それをパート・アルバイトで補いながら売上を拡大させていきます。

 

一方、プロ経営者は、付加価値を開発しようとするので、先駆者としての逸品の開発を目指します。意識が付加価値、リターンを生む創意工夫にありますので、取扱い商品は狭くとも、その道で認知されること目指します。

 

このようなことから、アマ経営者が商品を開発しようとすると「あれもこれも…、ベターっと横に広いラインアップ」となりますし、プロ経営者が商品を開発すると「これまでを超える…、逸品を頂点とする縦の商品ラインナップ」になっていきます。

 

これらの意識は経営施策にも現れます。アマ経営者は売上高、量的な拡大を目指し、運動量を上げようとします。一方、プロ経営者は収益性、質的な拡大を目指し、じっくりと創意工夫に取り組みます。

 

運動量ならばある意味で肉体的に頑張れば良いのですが、質的に高めようとすれば立ち止まって考えなければならず、答えのない未知領域ゆえに独特の“不安”が漂います。

 

質的に高めようとすることからくる“不安”こそ経営者らしい不安の種類であり、答えを探さないと決めた人に訪れる誇らしい“不安”です。

 

売上の前に収益性を高めようとしていますか?

次なる商品は、今の商品の横ではなく上にありますか?

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