【第157話】豊かな新規受注を手に入れる“探され方”の不可欠要素
クライアント企業に「ネットを見た」ということでお問い合わせがあり、大型案件のため、営業に随行させていただきながら商談を進めていた最中のこと。
「またネットを見たとのお問い合わせがあり、新規の受注につながりました」と。そして、そこから立て続けに問合せがあり、「いまのところパーフェクトに受注しています」という何とも頼もしい状況。
技術に底力があり、顧客サービスをモットーとして掲げ徹底しているだけあって、企業風土の良さがお客様に伝わり、問い合わせさえあれば高確率で受注に結び付けていくことができています。
従来、BtoBの世界で仕事をお願いしようとすれば、「こういった仕事、できるところ知らない?」といった紹介が中心的な役割を果たしてきました。私のところにも「こういった仕事をお願いできるところはないかな?」といった紹介のご依頼をいただくこともしばしばです。
つまり、ひと昔前までは、仕事の実績が次の仕事を呼ぶ…という考え方が営業姿勢の根底にありました。
ですから、「ウチは営業しなくても仕事が来るんだ」というのは、社長の自慢話であって、これまでの実績による信用の証とさえ考えられてきました。
ところが昨今、経営が苦しくなっている企業というのは、多々、実績があるにもかかわらず…、という現実があります。
なぜ、これまでの実績が次の仕事につながり難くなっているのか…。これは、経営の前提が変わってしまっていることに起因します。
それは、「足りない時代」から「足りてる時代」になったということです。ですから、販売を伸ばそうと考えるならば、新しい製品、新しい市場を自ら創らなければなりません。
そして、それを他の企業よりも早く実現しなければならないために、スピード競争の様相を呈しています。
こういった経営環境の前提を確認した上で、「前と同じ仕事が次もあると思いますか?」とお聞きすると、勘の良い経営者ならばこうお答えになります。「そうだよな…」と。
このような前提の下で新しく仕事を獲得するというのは、原則的に考えるならば「必ず何らかの新しい要素が入ってくる」ということです。
ですから、まるっきり「前と同じ仕事」などなく、よって、前の仕事の実績が次の仕事に必ずしもつながるとは限らなくなってきているのです。
そうなるとお客様が探しているのは何でしょうか…。「何ができるか?」だけではなく「こういった状況に対応できそうか?」が“検索”されているということになります。
つまり、「実績」という客観的事実に加えて、これからの「取組み意志」が問われているということです。新たなコトに対する対応姿勢が問われているのです。
新たなビジネスチャンスを手にするためには知られることが大切です。ですが、その「探され方」は昔と今では違います。紹介よりも先にネットで“検索”されるのです。
前述の状況を踏まえるならば、今は「何ができるか」だけでなく、「どう取り組もうとしているのか」という御社の「意志」が“検索”されているということです。
ですから、探されようとするならば、御社の「意志」を表明することが欠かせません。
実績として「何ができるか」に、御社の意志として「どうしたいのか」を付していなければ、実績だけ掲げて口を開けて待っていてもお声が掛かることはないと心得るべきでしょう。
御社では情報発信に「意志」を込めていますか?
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