【第156話】商売繁盛に欠かせない“顧客視点”の育て方

新事業や新製品の企画において、“顧客視点”が大切といわれます。ところが、“顧客視点”といった途端に、ほとんどのケースで議論が間違った方向にいってしまいます。

 

間違った方向とは…、もちろん、売れない、儲からない方向ということです。

 

なぜそうなってしまうかといえば、「顧客の視点」になってしまうのです。つまり、「もっと便利な方がいい」、「もっと安い方がいい」…といった類の議論です。

 

こうなると、現状の延長線上での改善レベルの議論になってしまい、“新しい”儲かり要素が生まれなくなってしまうのです。

 

我々が新事業構築プロジェクトで大切にしたい“顧客視点”と「顧客の視点」では、言葉は似ていますが、その意味は全く違います。

 

新事業・新製品の企画とは、「顧客の常識を超えていく」ことを目指しています。その際、“顧客視点”とは、あくまでも企業側からの視点であるということです。

 

プロジェクトを進めていくにあたって、“顧客視点”という見方で「顧客に新たな価値や視点をもたらす切り口は十分か」をチェックしているということです。

 

よって、“顧客視点”でチェックするための質問は、「何が新しいの?」、「誰が欲しいの?」、「どこで売るの?」、「その値段で買うかな?」といったものになるということです。

 

新しい価値、新しい欲求、新しい価格…、我々は“新しい”を提示できているのか、常識を超えているのかを確認しているのです。

 

なかなか分かりにくいことなのですが、高収益を実現していくためにはとても大切なことなのでもう少し補足します。“顧客視点”とは決して「顧客の視点」で考えることではありません。

 

“顧客視点”とは、顧客の心情や事情を理解し、今の常識を超えていくという新事業や新製品のビジネスとしての“概念”の話をしています。

 

“顧客視点”でビジネスを考えるとは、家電で例えるならば「成熟した技術の製品をこれまでにないほどの低価格で提供するジェネリック家電を創ります」といった新市場の切り口となる概念的整理だということです。

 

一方、「顧客の視点」で考えてしまうと、現状に出発点があるために、議論が「コードレスにします」、「軽量化します」、「ごみ捨てをワンタッチにします」…、今の常識の範囲を超えていかないのです。

 

事業を豊かな成長に導く商売繁盛のための正しい“顧客視点”の持ち方というのは、「顧客の視点」の上にあるビジネスの思想だということです。

 

このことは、事業の“顧客視点”を磨き上げていくためには「顧客に聞いてはいけない」ということを意味しています。

 

お客様が教えてくれるはずなどないのです。本当の“顧客視点”がもたらす新しい価値を、お客様はまだ知らないのですから。

 

こういった潜在的なことは、お客様に聞くよりもGoogleトレンドで関連しそうなキーワードをチェックした方が見当をつけやすいとさえいえるでしょう。

 

御社の“顧客視点”を育てていくためにはコツがあります。それは「どこかに仕事はないか」と探すのではなく、「次は何を仕事にしていくか」と考えることです。

 

どこかにある仕事を貰おうとするのか、ご自身で仕事を創ろうとするのか。どちらの考え方が豊かな道をもたらすか。社長の仕事が「仕事を創ること」であることを前提とすれば、答えは自ずと明らかでしょう。

 

真の“顧客視点”とは、新しい仕事を創り出していこうとする社長の仕事そのものなのです。

 

御社では“新しい”を目指していますか?

御社の企画開発は「顧客の視点」に甘んじていませんか?

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