【第131話】事業を飛躍に導く出発点とは

「これまで○○という問題について△△事業をやってきまして、次の事業として□□を進めていまして。。。」とのご相談。若さもあり元気ハツラツの経営者であり、講演やビジネスコンテストなどに参加しながら事業を積極的にアピールしているとのこと。

 

一見前向きなお話に聞こえますが、直ぐに「大変だろうな」と感じました。もう少しお聞きするれば、やはり「実はどれも上手くいかなくて……」と。

 

つまり、あれこれ手を尽くしているのですが、経営として成果と呼べるレベルに事業が育たない――とのこと。

 

なぜ、お話を聞いて「大変だろうな」と感じたかといえば、理由は簡単です。弊社でお伝えしているコンサルティングとは反対方向に走られているからです。

 

事業と呼んでいるものが極めてイベント的――とお伝えすれば、雰囲気をお分かりいただけるのではないでしょうか。では、なぜそうなってしまうのでしょうか。

 

これは出発点に問題があります。こういった経営者の多くは、メディアで問題として取り上げられていることや、世の中で課題とされているテーマで事業を行おうと考えてしまう傾向があります。

 

つまり、誰か他人が決めた市場に乗ってしまうのです。もちろん、事業には大義名分が欠かせませんから、それはそれで大切なことなのですが、ここでお伝えしたいのは、その見方や解釈が教科書的で「みんなと同じ」というのは、いかがなものでしょうかということです。

 

経営のステージとなる市場が決まった下で、事業の違いを表現しようとすれば、それは、手段レベルにならざるを得ません。

 

こういった事業は、お客様の目にはどのように映るでしょうか。

 

いくら手段の違いを声高に叫んだところで、既存の市場に“便乗”しているだけに見えてしまいます。市場を船に例えるならば、お客様から見ればその事業は「同じ船」でしかないということです。

 

“便乗”して経営にあたっていて、同じ船の他の人よりも成果を出すことなど出来るはずがありません。それにシビレを切らして、また別の船に。そしてまた次の別の船に……。

 

これはもはや事業というよりも、お金集めのテーマ探しとさえ言えるでしょう。

 

これでは、いつまで経っても、いくら乗り換えても“便乗”であることに変わりはありませんから、経営の向上など期待できるはずもありません。

 

経営者であるならば、船そのものをご自身で出航させなければなりません。そのためには、事業の出発点である問題の捉え方に、独自の見方や主張が宿っていなければなりません。これこそが本当の大義名分と呼べるものです。

 

そうすれば、例え手段が似通っていたとしても、問題の捉え方や定義が違うため、それは違う船、すなわち違う事業であると、お客様は感じてくれます。

 

なぜ、こういった既存市場への“便乗”が起こるかといえば、大きくその原因は一つです。

 

仕事を創ろうとせず探そうとしているからです。

 

既存市場というのは、既に在ることが見えているのでとても安心感があります。よって、そこに“便乗”しようとしてしまう気持ちは分からない訳ではありません。

 

ですが、独自の事業としての船出を目指すならば、市場創りそのものがその出発点にあることはお分かりいただけるものと思います。

 

自分の船で漕ぎ出せば、強さを蓄積していくことができます。片や、他人の船に“便乗”している限り、いずれ乗り換えの時がやってきて、その度に、そこでまたゼロからの積み上げが始まってしまうのです。

 

他人の船にいつまで“便乗”しているつもりですか?

そろそろ自分独自の船を創る時ではありませんか?

コラム更新・お役立ち情報をメールでお知らせします!

メールアドレスをご登録いただくと、コラム更新やコラムではお伝えしきれない情報などをメールでお知らせします。

こちらのページから是非ご登録ください。

経営者応援コラム