【第132話】強い経営を実現する真の“モチベーション”

スポーツ観戦に行くと、いつも「おかしいな?」と思うことがあります。

 

応援しているチームが勝っている時には盛り上がって、負けている時には凹んで静かになったり、怒ったりする。これ、いかがだと思われますか?

 

これ逆ではないかと思うのです。応援とは負けている時にこそ必要なのですから、凹んでなどおらず、それこそ必死に応援すべきではないのかと。

 

まあ、プロスポーツの場合、観客=お客様ですから、応援者でありながら楽しませてもらう立場ともいえます。

 

そう考えれば、勝ち負けに一喜一憂してみたり、日常生活では起こらないような感情の起伏をあえて楽しんだり、勝っても負けても、その後焼き鳥で一杯……なんていうのも、「お客様」という立場の楽しみ方だといえるのかもしれません。

 

ところで、ビジネスでこの「お客様気分」をやられるほど困ってしまうことはありません。

 

売れているとノリノリで、売れないと凹む。ビジネスシーンの多くが凹む側だということを考えれば、凹んでいる時にこそ真価が問われています。何とかするしかないのです。

 

社長から「ウチの社員の“モチベーション”を上げてくれ」などと言われることもあります。

 

こういった文脈で用いられる“モチベーション”とは、動機づけ、意欲、活力……といった意味よりも、むしろ限りなくその先にある売上・利益を意味しています。

 

この発想は、“モチベーション”に関するとても致命的な勘違いをはらんでいます。

 

なぜこういった勘違いが起こるかといえば、社長としても働く意義がそこまでしか見えていないからです。

 

こういう社長が「もっと“モチベーション”を上げてくれよ」といえば、従業員には「もっと売って、もっと儲けてよ」としか聞こえないということです。

 

ですから、社長の号令に対して、「何かできることをしよう」と考えることにつながらず、もうこれ以上売るのは「ムリです」という意味で、硬直状態に陥ってしまうのです。

 

ですから、この硬直状態から抜け出そうと、また「モチベーションを上げよう」とすれば、どうなるか――。悪循環を加速させるだけで、もっともっと状況が固まってしまうことは明白です。

 

仕事、働く、貢献……といったことの本質を踏まえておられる本物の社長の場合、もっと深い意味で“モチベーション”を使われます。

 

それは、“モチベーション”を働く意義、つまり『使命』と捉えているということです。

 

経営者にとって“モチベーション”とは『使命』ですから、経営哲学として組織の中に浸透させていくものに近い感覚といえるでしょう。自分たちが担おうとしている役割に対する考え方の徹底度に対する状態把握なのです。

 

自分たちの仕事がお客様にどう役立っているのか。なぜ、我々がこれをやらなければならないのか。そして、これらの取組みは世の中にどう貢献しているのか。

 

こう認識していれば、“モチベーション”は、短期的に浮き沈みする気持ちのノリのようなものではなく、さらに今日明日の経営成績などで浮き沈みするような性質のものでもないということがお分かりいただけるのではないでしょうか。

 

単なる気分的なノリを改善するのと、真に“モチベーション”を上げていくのとでは、まるで意味が違うのです。

 

経営を成長発展に導いていくためには、真の意味での“モチベーション”をどう上げていくかが重要です。

 

本物の経営者が率いる組織が、頑健で安定的なのは、推して知るべしなのです。使命感という共通目的で動いている組織、これこそが真に“モチベーション”の高い組織といえるでしょう。

 

御社の“モチベーション”は本物ですか?

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