【第101話】成長投資を成功させるために欠かせない3つのマインド

仕事柄、「投資」を決めて進めていく席にご一緒させていただくことが多々あります。何度経験しても慣れるような性質の意思決定ではなく、凛とした社長殿の姿に、尊敬の念が堪えません。

 

こういった場というのは、いくら勝算高く準備をしていたとしても、未来に対する希望感と、大規模な資金を投下することに対する恐怖感とが交差して、何ともいえない空気感が漂います。

 

一方で、過去の経験から、このまま実行に移すと相当にマズイな、というお話も多くお聞きします。

 

成長投資のアクセル役ではあるものの、時としてブレーキ役にもならなければいけない立場から、厳しい意見を申し上げることもあります。成長投資を成功させるためには、3つのマインドが不可欠です。

 

まず、最初に大切なのが「使命感に従う」です。

 

投資するだけなら…お金を使うのですから、端的に申し上げれば誰にでもできます。ここでは、成長投資というリスクテイクを成功させようと申し上げているのです。あるいは、成功させるまで頑張り続けられますか?とお聞きしています。

 

挑戦領域に踏み出していくのですから、成功と呼べる日までには幾つもの難題が降りかかってくることくらい至極当然のことといえます。そんな中で踏ん張っていくためには、これが自分の仕事だ!!と思えなければ到底難しいのではないですか、ということです。

 

続いて二つ目は「探究心が沸く領域に陣取る」です。

 

製品・サービスの背景には、それをカタチにするための能力が必要不可欠です。この能力を高めていくことが投資の核であるため、この能力領域に探究心が沸いてくるようでなければ、成功確率を高めることは難しいでしょう。

 

この能力の向上を、製品やサービスといった表現型にすることで、今よりもずっと付加価値が向上していくという筋書きです。

 

成長投資そのものが、一種の研究開発だということです。成長投資とは単なる資金の投下ではなく、この一連の行為を通じて能力の向上を図ると同時に、製品・サービスの高付加価値化と生産性向上を図る絶好の機会でもあるのです。

 

稀に「この設備さえあれば、新製品が出来るんです。さらに作業時間も短くなります。」といったお話をお受けすることがあります。そのような場合、「例え製造コストが下がったとしても、特定の設備を導入さえすれば誰にでも出来る製品に、お客様は原価以上の代金を支払いたいと思いますか?」とお伝えしています。

 

事業を企てる上で設備はあくまでも道具です。御社自体が、設備に使われてしまっては意味がありません。御社の事業なのですから、自社でしっかりと企画を握り、設備を使って価値を世に生み出していくという構図を維持することが大切です。

 

そして三つ目が「財務だけは保守的に設計する」です。

 

P/Lはある意味で目標でもありますから、積極果敢な目標ベースのシナリオを掲げておくことも一理あるのですが、ことB/Sに関しては、保守的に設計しておくことが肝要です。

 

「思い切ってやってみる」という気持ちは大切ですが、投資は目論見を伴っているという意味において、挑戦(チャレンジ)ではなくて試行(トライ)でなければなりません。

 

最初は小さく始めて、しっかりと利益の出る事業モデルを構築できてさえいれば、その利益を再投資することで、順次事業を複利的に拡大していくことができます。

 

さらに今は、自社で持たなくても様々な設備やサービスが利用できる時代です。製品・サービスだけでなく、どのような事業モデルを構築するか。。。こういった投資の進め方には、まだまだイノベーティブな工夫余地が多くあります。

 

加えて、資金調達面でも、単なる借入だけではなくて、社債や転換社債、種類株など、選択肢は充実しつつありますので、状況に応じて積極的に活用することで保守的に設計していくことが大切です。

 

御社の投資は夢中になれる取組ですか?

財務は積極的に保守的を目指していますか?

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