【第474話】時間を味方につけてもっと強くなっていく経営の成功法則

「やっと、この商売に自信を持てるようになってきました」と社長。開発に苦労してきた商品、この筋に間違いはなかった…と確信を持たれ始めています。

 

ところで、ワインは、最も価格差のある商品だといわれています。安いものならば1本500円程で手に入ります。片や高級品ともなれば、数百万から数千万。ネットショップで探せば1億円というものまで見つかります。

 

では、ワインの価格はどのような要因によって形成されているのでしょうか?

 

例えば、果実の種類・質、土壌、気候、樽、生産技術、製造コスト、保管費用、輸送費、関税……、確かに価格に要素を及ぼす要因ではありますが、高級ワインと呼ばれるものは、何かこういった物理的なものが決定的要因ではないように感じます。

 

では、歴史、ブランド、収穫年、稀少性、需給、投機……、何か近づいてきた感じがします。

 

ワイン1本の製造コストが1億円もかかることは考えにくいので、そうなると、高級ワインの価格は、最終的には物理的な要因よりも心理的な要因による影響が大きいといえるでしょう。

 

特に銘柄や収穫年による価格の違いは絶大です。素材であるブドウの当り外れに始まり、何十年たったか…。有名な銘柄で、概ね、古いほど価格が上がっていきます。

 

長い時間にわたって熟成されていく、そして飲まれた分だけ減っていくため希少性を増していく。さらに時間とともに価格が上がっていくインフレ商品ということで、投機資金も流れ込む。

 

当り年のヴィンテージワインで「これが最後の一本です」などとなれば、その価格はどうなるか。ご想像に難くないでしょう。

 

そういった歴史を強みに変えて、商いを続けながら時間とともにもっと強くなっていくワイナリーもあれば、作ったワインがなかなか売れずに商売からの撤退を余儀なくされるワイナリーもあります。

 

この違いは一体何なのでしょうか。

 

確かに、関税が低いことでチリ産ワインの輸入が増え、長年、日本での輸入ワインのトップを走ってきたフランス産をしのぐ勢い、といった政策・制度による差が価格や消費量に影響を及ぼすことは間違いありません。

 

制度上、売れていた商品というのは、制度が変われば売れなくなるということです。商売の生殺与奪を制度が握っている商売というのは、長い目で見ればいずれ…。ご自身の努力に拠らないところで終止符が打たれることを意味しています。

 

ですが、我々が目指している独自の成長…という視点から考えれば、世の中の諸事情を見定めつつも、その商売の本質部分で勝負していくことを考えねばなりません。

 

少なくとも、永きにわたって事業を維持・成長させてきた経営というのは、「本物であること」、そうあろうとすることに努力してきた企業です。

 

本物であろうとする企業は、本物の価値を時代の諸条件に合わせて提供し続けます。一方、小手先で稼ごうとする企業は、諸条件そのもので稼ごうとします。

 

つまり、商売の見方が違うのです。

 

例えば、料理番組でも長続きしないのが時短料理や節約料理。対して、家族のため、毎日のための料理番組は長命です。

 

この結果は最初から分かっています。家族ヘの思いやり、食べる人への愛や心配り…。こうした本質的な部分の有無だからです。残念ながら短命ビジネスには、核心となる価値がありません。手段だけです。

 

食べる人を思い浮かべながら…、料理を通じて受渡しする“何か”こそが、その事業の質的な強さです。お客様の真の「欲しい」、方法論ではなく本質を見据え続けようとすることが大切です。

 

新事業が小手先商売になっていませんか?

本物の道…を歩んでいきませんか?

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