【第409話】経営者に“非常識”が大切な理由
「〇社長は一緒にいて絶対に嫌な気分にさせないよね」と△社長。〇社長はとても厳しい仕事ぶりをされている一方で、自由奔放なところもお持ちです。
実際、〇社長、場を明るくエネルギッシュにすることはあっても、決して相手をイヤな気持ちにさせることがなく、そうした意味で極めて常識人です。
一方、場によっては、経営者は自分勝手で常識がなくて困る…といったことを耳にすることもあります。全体のことや関係者の立場も考えず、自分の言いたいことだけ主張して…という訳です。
こうした文脈で言われる常識とは、社会性や協調性、大人としてのふるまいといったことでしょう。
言い方の問題はさておき、経営者であるならば様々配慮はしつつも、いずれ自分の考えや主張を表現していくことが求められます。
ちなみに、経営者は常識にとらわれるな…ということも良く聞きます。この世界に棲んでいてこのことは真理であると断言できます。
大切なことなので、声を大にしてお伝えします。経営者は常識にとらわれてはいけません。
では、経営者は常識的でありつつも常識にとらわれてはいけない、ある意味で経営者には非常識であることが大切…とはどう理解すればよいのでしょうか。
その前に、少し整理しておきたいことがあります。それは、経営の型の違いによって、求められる常識、非常識が違ってくるという話です。
まず、経営が請負受託型の場合、請けた仕事をこなすことや請けられる仕事を増やすことが経営者のマネジメント課題になるということです。
そうだとすれば、ここでは従業員への配慮や調整といった、いわゆるメンテナンス型のリーダーシップスタイルになります。
つまり、人間関係を維持するためのふるまいこそが常識的であって、できもしないことを従業員に求めるなどということは非常識となってしまいます。
ところが、経営が企画開発型の場合、新たな仕事や商品サービスを創ることが経営者のマネジメント課題になります。
こうしたマネジメントが従業員に求めるのは、新たな取組みへの貢献意欲や、新たな成果といった、いわゆるパフォーマンス型のリーダーシップスタイルだということです。
ここでは、ユルい人間関係の維持よりも、仕事人としての成果、パフォーマンスが優先されるということです。
新事業構築、新分野進出、新商品開発…といったことというのは、これまでの常識の範囲を超えているから新しいという意味で常識にとらわれていません。
言うまでもなく、本物の企画開発というのは常識の範囲を超えた非常識の領域にまで出て初めてそう呼べるものです。
大切な法則性なので、あらためて整理すれば、請負受託型の経営をされているのであれば、あなたは人間関係維持のためにも社会通念上、常識的であることが適切でしょう。
あるいは、企画開発型の経営をされているのであれば、新たな成果を生むためにも常識にとらわれてはなりません。組織には、新たな成果を目指すためにも非常識な要求をしなくてはなりませんし、非常識とも思えるような舵取りも行っていかなければなりません。
経営者とは、リーダーとしての資質を持って生まれてきた人たちです。リーダーとしてしか生きられない生き物と言っても過言ではないでしょう。
だからこそ、その人柄、考え方そのものが経営に現れます。
新事業構築、新分野進出、新商品開発…高い目標に挑む企画開発型の経営は、どのように常識を越えていくかが命題であり、経営者には常識越えが求められています。
人間関係維持のために常識的であろうとしますか?
高い目標を掲げて非常識に挑戦しませんか?