【第410話】経営者のための学び方・活かし方

「〇〇という本を読んで、当社にも××を導入してみようと思うのですがいかがでしょうか?」と社長。勉強好き、読書好きで、いつも「この本、面白かったよ」と蛍光ペンで線だらけになった本をご紹介くださいます。

 

日本の社会人は、本を読む量が少ないということで、度々、取り上げられます。月に1冊も読まない人が6割と言われており、社会に出てからの学びの姿勢が貧弱であることが問題視されています。

 

一方、こうした現状に鑑みて、文字離れ、活字離れ…といったことを防止しようと、啓蒙活動をする新聞社、出版社にも問題があります。

 

それは、本を読まないとは何事だ…と上から目線で啓蒙活動をしていることです。こうした主張をいくら展開したところで、本や新聞を読まない人にとっては「何も不便ないんですけど…」となるに決まっているのです。

 

もっと根源的なところまで遡って、ご本人にとって、本を読んだり、学んだりすることについての大切さ、有用さを伝えるべきと、常々、思います。

 

では、学ぶことの大切さとは、何なのかといえば、「ご自身の能力を開発し発揮するため」といえるでしょう。

 

ちなみに、「学ぶ」というと、どうしても学校で学ぶかのように、自分に足りないものを身に着ける、何か足りないものを付け足そうと考えがちです。

 

ところが、それは違います。社会人、特に経営者にとっての学びとは、こうした不足を補うことではなくて、自らを発揮するためのものなのです。

 

こう考えてみると、学校での学びは先生の方に主導権がありましたが、経営者の学びはご自身の方に主導権があることに気付くことができるでしょう。

 

大切なことなので、補足してお伝えすれば、経営者が学ぶ必要性とは、足りないこと、知らないことを足すためではなくて、主体者としてご自身の能力をどのように発揮するのかということの方だということです。

 

この学びの違いを分かった上で、前述の社長のご質問、いかがお感じでしょうか?

 

学びの成果を取り入れる意識も大切ですが、その取り入れ方とは、決してそのまま持ってくるようなものではないということです。

 

様々な学びを、一旦、自分の中に取り入れ、自分という関数を通じで自分なりのモノに仕上げたものを導入すべきなのです。

 

当社では、こうした経営思想をフェノタイプ(表現型)と呼び、目指す経営スタイルとして強くお伝えしています。

 

経営者にとっての学びとは、どこかにある儲け話を探すのとは違います。

 

確かに、世の中は進んでいるため、遅れをとらないことも大切ですが、学びの本質とは、そうした足りなさを補うことよりも、むしろ経営者ご自身を高めていくことで、新たな事業スタイルを更新していくためと言えるでしょう。

 

ここで、本のように文字として情報を得るだけでなく、人に会いにいって話を聞くという学習法もあるでしょう。

 

もちろん、会って聞くことの高揚感や臨場感も大切であることは否定することではありません。ただし、あえて本、文字から学ぶことをお勧めしているのには理由があります。

 

それは、「繰り返し読める」ということです。

 

当然のことながら、自分という関数を通じて自分なりのモノに仕上げる。こうしたフェノタイプな解を求めていくためには、筋トレのような繰り返しが必要不可欠なのです。

 

こうしたトレーニングには「本で読む」ことが向いており、「会って話を聞く」は、こうしたトレーニングを続けるためのモチベーションを保つための刺激策と分けて考えると良いでしょう。

 

月に2冊以上、本を読んでいますか?

その学びをご自身の解にしてから導入しませんか?

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