【第406話】想いは強いのに鳴かず飛ばず…の対処法
「…ということで地域を盛り上げていきたいと思っています」と社長は事業紹介を締めくくります。こうしたご挨拶を耳にすることが年々増えています。
ちなみに、経営コンサルタントを目の前にして自社を紹介されているため、どんな思いで、どんな考え方で…というご自身の心情的な部分を伝えたいというお気持ちはとても良く理解できます。
ここで、年々増えている…と懸念を表明しているのには、理由があります。
それは、自社の商品サービスをさておいて、こうした背景的な想いでしか自社の説明をできない経営者が増えているということです。
こうした事象を、なぜ懸念としてお伝えしているのかといえば、ビジネスという土俵への乗り方が第三者的だということです。
どのようなことを第三者的とお伝えしているかといえば、社長としての役割がリーダーではなくてコーディネーターになってしまっているということです。
例えば、前述の社長の場合、地域を盛り上げるコーディネーターの役割が前面に出てしまっていて、お客様に自社サービスを提供する責任主体のリーダーとしての意識が低いということなのです。
確かに、地域を盛り上げる…も大切な意識です。ただしそれは、自社の商品サービスを通じてということです。
これを逆から言えば、自社の商品サービスをお客様にご購入いただくことで、その先にある地域への貢献が実現できるという順番なのです。
本気で自分で考えて創った商品サービスをお客様に販売しに行く際、自分でもビックリするくらいの緊張感を覚えるものです。
一方で、自分の知ってる商品を説明する際に、緊張することはありません。
こうした緊張感の違いが生まれるのが、主体者なのか第三者なのかの違いなのです。
主体者として自社の商品サービスの企画開発に渾身の力を入れて、その営業トークをしようとすると、お客様が買ってくれるのかの前に、どんな反応があるのか…を考えるだけで緊張して声が震えるものです。
実際、百戦錬磨の営業マンが、自分で考えたサービスのプレゼンで、手足が震えているのを見たことがあります。
このように、第三者ではなく主体者の立ち位置から商売をしようというのは、とても腹を据えていかないとならないことなのです。
この腹が据わらないまま、立派な経営を語ろうとするため、第三者の立ち位置からの語りになってしまうのです。
確かに語られている意識を持って経営にはあたられているのですが、経営者としての中身が単なるコーディネーターなので、日頃のオペレーションだけは調整されているモヤっとした経営になってしまいます。
このため、主体者、リーダーとしてしっかりと方向性を出していくことができず、結果、お客様から選ばれたとしてもその理由は悪くはない…だったりします。結果、鳴かず飛ばずが続いてしまうのです。
鳴かず飛ばず…をお感じであれば、ウチの商品サービスはこういうものです…と主体者としての椅子に座る腹を決めることです。
そのために大切なのは、「やってあげている」という意識を捨てることです。この意識があなたがリーダーになれずコーディネーター止まりの原因、鳴かず飛ばずの原因です。
だからこそ、ご自身の腹を決めて、こうした商品サービスを「やってやる」ということを世に問う意識が大切です。
これにご賛同いただいたのが本当のお客様なのですから。
どこか「やってあげている」と思っていませんか?
コーディネーターをやめてリーダーになりませんか?