【第380話】提案営業の本質と強化法

「今年は勝負の年、提案力を上げるために営業スタッフの研修を強化したんです」と社長。費用も時間も投入して、戦力強化に余念がありません。

 

言うまでもなく、こうした研修、教育、訓練といった日常業務以外でのトレーニング、OFF-JTというのはとても大切なことです。

 

実際、多くの企業では、技術、製造、営業、接客、システム、経理、人事、法務…等、多彩な教育訓練を実施しています。

 

あるいは、部長、課長、係長…といった役職別の研修なども一般的です。

 

ただし、こうした教育訓練というのは、業務遂行上、必要なスキルの補完が主眼であり、平均レベルは向上するとして、本当に稼ぎ頭となるような戦力、トッププレイヤーが育つかと言われれば、???と言わざるを得ません。

 

なぜかといえば、ビジネスにおける成果とは、スキルの応用から生まれる貢献度であって、それはスキルの高さだけによるものではないからです。

 

特に、営業、販売といった場面において、その昔から“提案”と呼ばれる取組みがなされていますが、大抵は上手くいきません。

 

この原因はとてもシンプルです。それは、“提案”ということを分かっていないからです。

 

例えば、提案力の向上に向けた営業スタッフ研修で、商品サービスの勉強をしていないでしょうか。あるいは接客スキルや話し方を勉強していないでしょうか。はたまた、ビジネスマナーを学んだりしていないでしょうか…ということです。

 

これらの研修が不要ということではありません。もちろん、基礎的なビジネススキルの向上に向けて計画的、継続的に実施していくべきものです。

 

ただし、こうした研修は、お客様へのお願いの仕方が提案風になっているだけであり、本質的な意味で提案営業にはなっていません。

 

では、ビジネスにおける提案、あるいは提案営業とはいかなるものなのでしょうか。

 

そもそも、御社は何を売っているでしょうか? ここでこれほど単純な質問をしているのにはもちろん理由があります。

 

もしも、御社は何を売っていますか?に、モノやサービスで答えるに留まっていたとすれば、御社の営業は提案営業にはなっていません。

 

オフィス用品いかがですか、予約受付システムいかがですか、広告代行サービスいかがですか…、これらのように商品サービスを直接的に提案しているのは、あくまでも商品サービスの“ご案内”であって“ご提案”ではないのです。

 

ご案内とご提案、何が違うのでしょうか。それは、ご案内が商品サービスをおススメしているのに対して、ご提案は商品サービスの購入後をおススメしているという点です。

 

すなわち、ご提案とはお客様に対して、商品サービスの購入後に手に入れることのできる状況をおススメしているという点で、ご案内とはその本質が異なるのです。

 

このことに気付かず、商品サービスのパンフレットを書いたり、営業スタッフ向けの新商品勉強会を行ったり、テレアポのトークスクリプトを作ったりしたとして、果たしてこれらがお客様に刺さるご提案になるでしょうか。

 

“ご案内”は、言葉こそ丁寧ですが、こちらの事情を説明しているに過ぎません。反対に“ご提案”は自社がお客様に出来得る貢献の仕方をお伝えしています。

 

ご自身の借金も全て自社に投じて再建を果たし、当該分野では他社を寄せ付けない強さを育て上げた壮絶なご経験をお持ちの社長のお言葉が心に残ります。

 

「仕事を下さいと言ってもどうにもならなかったので、必死でお客様のことを考えて提案に仕上げた」と。

 

商品サービスのご案内、その商品サービスを購入することで手に入れることができる状況がご提案です。お客様目線の営業こそが提案営業の本質です。

 

お客様目線で商品サービスを説明できますか?

今年こそ、本気の提案営業で業績を伸ばしませんか?

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