【第341話】商品が商品化されているための3条件
「かねてから念願だった自社オリジナルの〇〇商品を作っていきたいので、手伝っていただけますか?」と社長。常々、自社看板のビジネスで勝負しましょうとお伝えしておりますので、喜んでお手伝いさせていただくことになりました。
今般のコロナ騒動によって、これまで描いていた延長線上にあったはずの未来は大きく変わってしまいました。このため、多くの企業では、既存事業を軸にしつつも、新たな路線へと大きく経営の舵を切っていくことが必要不可欠になっています。
こういった誰も望まなかった変化に際して、自ら飛び込んでいくのか、あるいは文句を言いながら渋々突き落とされるのか…、その後の盛衰にかかわる大きな決断です。
さて、まず始めにお伝えしておきたいのは、本物の成長発展を望むならば、自社看板の商品・サービスを創ることが欠かせないということです。
なぜ、そう言い切れいるかといえば、その理由はシンプルです。商売の付加価値の全てがそこにあるからです。付加価値経営の基本型だからです。このため、常々、オリジナルな自社看板の商品を創って欲しいとお伝えしています。
今は、例え他社が創った売れそうな商品を転売して利ザヤや手数料を稼いでいたとしても、あるいは他社のビジネスの一部を代行するに留まっていたとしても、いずれ成長過程のどこかで必ず自社看板の商品で勝負しなければならない時が来ます。
よって、その時に易きに流れないためにも、経営者はこの方向性に平時から意識を向けておくことが大切ですし、このことが念頭にあることで、アイデアを見出す可能性を高めることができます。
ところで、新商品が失敗する理由に“商品化”できていないということが挙げられます。これは、新商品がカタチとして出来上がることと、商売として勝負できるレベルにまで仕上がっているかの一線を超えているか否かであり、そこには3つの失敗要因があります。
よって、渾身の新商品で勝負していこうとするならば、この3つの失敗要因をつぶしていくことが欠かせません。
これは言い換えるならば、新商品を商品化して商売として成立させていくための3条件といえます。
まず条件1ですが、新商品がお客様にもたらす新たな価値便益をしっかりと設定するということです。これは新商品の特徴ではなくて、それがお客様にとってどのように嬉しいのかについて説明できなければ、それは新商品とは呼べないということです。
昨今、世界的な部品調達が可能であったり、OEM企業のお陰で、大抵の商品を物理的にカタチにしていくことが可能な時代になっています。
よって、自社で作るにせよ、大方を外注するにせよ、自社看板の新商品となれば、その商品に魂を込めてお客様のために活かすことを考えるのは、自社にしかできないということを理解しておくことが大切です。
そして条件2としては、お客様が買えるようにするところまで準備することです。新商品をどのようにして販売するのですか?という質問に答えなければなりません。
この質問に対して、販売代理店、商社、百貨店、道の駅、ネットでも…といったことであったならば、これは答えのようで全く答えになっていないのです。
もっとも適切な答えは、自分たちで売るということです。新商品が価値ある商品であるならば、それをお客様にしっかりと説明できるのも自分たちのはずです。どこかの誰かに販売を委ねることなく、自分たちで売る直販意識が大切です。
そして、条件3は、売れさえすれば利益が出る経営数字的な構造設計です。同じ商売であれば数字的な構造の違いが収益性、企業の存続発展を決定づけます。
安易な設備投資は自重し、上手に外部リソースを活用することも視野に、新事業・新商品のフィナンシャルモデルを組み立てることが大切です。
商品を作るだけの意識であれば、それはおカネで買える範囲でしかありません。真に成長発展をもたらす“商品化”、3つの条件を初期段階から念頭に置くことが大切です。
新商品は、商売として勝てるレベルに商品化されていますか?
そのために3つの条件を意識していますか?