【第334話】自ら商売を動かしていくために不可欠な“提案化”とは
「ウチのトラック、余ってるから、仕事あったらお願い」と、どうやら運送業の社長さんらしき方が知人に話しかけています。その話ぶりは「社長である自分が自ら率先して営業しないと」と言わんばかりです。
いかがでしょうか? 社長、経営者であれば、こういった「お願い系」の営業を受けて、お付き合いで購入したり、知人を紹介したりといったことがあるかもしれません。
当然のことならが、トップ営業という言葉があるくらい、企業の中でどんな営業マンよりも社長の営業力が最強であることはいうまでもありません。
社長同士が顔を合わせれば、お互いに何かしらお役に立てないかという意識で話が進められるため、ガキの使いではないという意味でも、何かしら物事が進むものです。
ここで、社長が営業スタッフに「私も仕事を取ってきているのに、営業は何をしているんだ」などと言ったならば…ということです。
社長と営業スタッフ、交渉パワーが決定的に違うことをさて置いて、同じような結果を求めたならば、確実に営業スタッフの眉間にしわが寄ることになります。
では、どうすべきかと言えば、この一言を発してしまう前に、不可欠な準備があります。具体的には、営業スタッフに交渉上の武器を持たせてあげる必要があるということです。
これは、商品・サービスを営業スタッフが戦える武器に転換するための準備であり、弊社では“提案化”と呼び、新事業構築、新商品販売開始にあたって、しっかりと準備します。
ここで、提案化とは、営業トーク、トークスクリプト、話し方といったテクニックのようなものではありません。
例えば、御社の商品やサービスについて、「この商品、いかがですか」という営業トークというのは、提案のように見えて全く提案になっていないのです。
このため、このままの状態で、営業マンに研修をしたり、トークスクリプトを整備したところで、お客様への働きかけ方の本質が何も変わっていないため、その結果が変わるはずもありません。
なぜ、「この商品、いかがですか」が提案になっていないかといえば、これが商品・サービスの説明であって、それらがお客様にとって、どういった価値、便益を提供するものなのかという説明になっていないからです。
これは、商品・サービスを買う理由について、全てお客様任せになってしまっているといえる状態です。
もしかすると、「商品・サービスについて、良く知ってもらえさえすれば、お客様の方で商品・サービスの価値便益を考えてくれるだろう」、「だから、商品サービスの説明を丁寧に行っている」とお考えかもしれません。
ところが、この意識こそが、売れない原因、準備不足の正体なのです。
今の時代、大抵のモノは足りています。あるいは、いくらでも競合する商品があります。こういった中で御社の新商品・サービスを販売しようとしています。
このことを前提とすれば、御社の新商品・サービスが例えどのような新技術でできていたとしても、それをいくら説明したところで、そして「お願い」したところで、新商品・サービスをどう使おうか…などと、お客様が御社のことを考えてくれるはずがないのです。
大切なことなので補足するならば、提案化とは、作り手視点を顧客視点に転換するという販売拡大に必要不可欠な事前準備です。
この提案化準備が、情報発信の核、スタンスとなり、お客様から反応をいただける「刺さる提案」になっていきます。
WEBサイト、ランディングページ、商品パンフレット、フライヤー、提案書、POP…、様々な営業ツールで効果を上げようとするならば、「お願い」する前に、もう1ステップ、提案化という下準備に取り組むことが大切です。
御社の提案は“提案化”されていますか?
営業ツールは提案書になっていますか?