【第317話】高い目標を寝言で終わらせない経営計画更新の秘訣

「これで、正しかったのでしょうか…」と、こちらを見つめる若い経営者の顔には、間違いないはずと思いながらも、さすがにいい加減…、あまりにも目指す状況が近づいてこないことに対する焦りと苛立ちが見え隠れします。

 

昨今、特に若い経営者の方に多いのですが、経営を考える上で、あまりにも教科書的になりすぎて、「勘違いしてるかな」、「間違ってるな」、「これでは上手くいかないな」ということがあります。

 

それはどういうことかというと、異様に崇高な経営目的と、現実味の薄い経営目標によって事業が語られている場合です。

 

これはとても大切なことなので、もう少し補足すれば、経営目的にあっては「あなたは神様ですか」と思うような美辞麗句で飾られ、経営目標にあっては単に数字だけ。しかも、達成までの道のりが見えず、「寝言ですか」と聞きたくなるような大きな値だけが掲げられているといったことです。

 

当然のことながら、仕事に対して高い意識を持っていることは大切です。よって、意識の高い経営目的を掲げ、達成が困難なほどの高い目標を掲げていること自体を否定しているのではありません。

 

では、なぜここまでしつこく指摘しているかといえば、こういった目的・目標をお聞かせいただいたところで、その“状態”がイメージできないからです。

 

難しい話をしているのではありません。経営者の頭の中が整理されて、シミュレーションが回っていて、“状態”がカラフルにイメージできているようでなければ、それを達成していくことなど困難ではありませんか?とお伝えしています。

 

もしかすると、「あなたにイメージできないだけだ」と言われるかもしれません。しかし、曲がりなりにも仕事柄、多い年には100件を超える事業プランに接し、その戦略構築と実践にあたってきているという経験をもって、イメージできないとお伝えしています。

 

というのも、キレイな目的や高い目標が達成されるということの本質は、何なのかということです。

 

それが、先ほどからお伝えしている望む“状態”ということなのです。

 

経営目的も経営目標も、この“状態”を如実にイメージできなければ、それは誰かに伝わるものではありません。よって実現は困難ということです。

 

ここで、経営目的、理念や哲学といったことは、そうそう更新していくようなものではないため、実務として目の前にあって更新し続けていかなければならない経営目標の掲げ方についてお伝えします。

 

目標とは“状態”だということです。このため、目標を掲げること、そしてそれを達成するというのは、決して数字だけで現わせるものではありません。

 

確かに“状態”を測ろうとするならば、もっとも明確なのは数字ですが、その内訳として、いくつかの“状態”があり、最終的に数字になって現れるという関係です。よって、そのいくつかの“状態”を言葉で説明できることが数字の内訳となります。

 

そして、目標を掲げる際、次に大切になってくるのは、その“状態”をいつまでに実現するのかという時間意識です。

 

というのも、達成時限のない目標というのは、「いつか…」と言っているに等しく、経営における目標足り得ないということは、お分かりいただけるものと思います。

 

そして最後に、めざす“状態”に向けて「まずはやってみる」ことが大切です。その際、重要なことは必要な時間を予算化するということです。

 

これは、望む“状態”に達するために必要な時間はどれほどなのかを算段し、その時間を投じる覚悟を決めることでもあります。

 

経営の目的も目標も、その中身とは経営者であるあなたが描く“状態”です。キレイな言葉や単なる数字で飾るよりも、泥臭くても具体的に目指す“状態”を語れることが大切です。

 

目標を“状態”として語れていますか?

その上で、数字化していますか?

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