【第285話】経営者に絶対不可欠な繁栄のハングリー精神

「70歳を超えた私がこれだけやっているんだから、君はまだまだやらないと」とおっしゃるのは、アジアの某国に海外展開を図っておられる社長。国内での本業を伸ばしつつ、新たな市場開拓に社長自ら奔走されています。

 

では、社長の経営者人生が順風満帆だったか…といえば、お話を聞き始めて10分を要さずとも目頭が熱くなるような、そんな壮絶な経験をされています。

 

創業者であっても、後継者であっても、少なくとも経営を一定の採算に乗せておられる社長、ある意味で一定の成功水準に伸ばしている社長には共通することがあります。

 

それは、一言でいえば「ハングリー精神」です。

 

まず、ハングリー精神が最も匂うのが、世の中への貢献、役割意識です。これは言い換えるならば、世の中に対する自社独自の切り込み角度です。

 

これは、単一の事業を行っているといったことではなくて、複数の事業を行っていたとしても、そのアプローチが“しっかり”しているということです。

 

ちなみに、“しっかり”とは、感覚的にいうならば世の中への切り込み方が、「上から」ではなくて「下から」なのです。

 

ここで、「上から」とはまさに上から目線、権力やお上、長いモノを背景とした経営です。これとは反対に「下から」とは、お客様を味方につけた経営です。

 

昨今、特に、第三者的な上から目線で「やってあげている」といわんばかりの「上から」主張を平気で展開する経営者とお会いすることが増えました。

 

こういった傾向が助長されてきた原因は、実に単純です。民活といったことで行政業務の外注化が進み、そういう市場が大きくなってきたからに他なりません。

 

当然のことながら、「上から」経営が悪いとお伝えしている訳ではありません。むしろ世の中として絶対的に必要なことであり、誰かがやらなければならないことです。

 

ただし、こういった「上から」経営に限って、事業を受託できなければすぐにスタッフを切るし、自由な働き方やフラットな組織といったことを錦の御旗として、仲間といった意識で、未来ある若者の人生を消費します。

 

一見、プロフェショナルで個人を尊重した働き方のように語りつつ、中長期的な人材育成や、職業人としての精神修養に対して無責任です。

 

要は、「上から」経営に限って、人の大切さについて、言っていることとやっていることが随分と違いませんか…とお伝えしています。

 

そもそも論として、「仕事をもらう」という発想と、「仕事を創る」という発想は、経営者としての根本が違います。

 

実際、しっかりとした「下から」の経営者は、こういった「上から」目線の主張に対して、冷ややかです。

 

「従業員〇百人とその家族を食わせていくのも大変なのに、よく平気で、世の中を変えるとか言えますよね」と。

 

この「下から」とは、いわば“在野精神”といったことです。自主独立の経営とは、実践者として自らの創意工夫によってお客様に応えることであって、すでに在る予算を受注して検収仕様を満足するために仲間という労働調達で役務を提供することは、事業に対する根本的思想が異なります。

 

ハングリー精神は、「下から」発想で謙虚に自社を世の中の実践者という立ち位置に置き、お客様を支えているという自負で売上を、お客様からの尊敬で利益を生み出します。

 

経営者のハングリー精神とは、常に最前線から、現場から発するものです。現場最前線にいることを旨とし、既存市場の受注に巻かれようとするよりも、新市場の創出に賭ける精神を失わないことが大切です。

 

独立自尊の経営のために「下から」に徹していますか?

従業員、お客様、取引先…、永いお付き合いを目指そうとしていますか?

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