【第245話】結果が出ない経営の真因

「おかげさまで、今月は昨対超えでした」との嬉しいご連絡がありました。長くじわっと売上がしぼみ傾向でしたが、底を打って次なるステージへの鼓動が高鳴りつつあります。

 

社長は、教科書的な取り組みを超えて、吉と出るか凶と出るか…の領域に踏み込んで勝負に出ています。スタッフさんも一緒に本気で取り組んでくれています。

 

そして、経営が元気を取り戻しつつあり、「昨対超え」という結果が現れてきたのですから、例えこれが小さな一歩であったとしても、大変に素晴らしいことです。

 

一方、結果が出ない…という状況に対して、様々な改善努力、取り組み…という文脈でお話をお聞きすることがあります。つまり、「やっているのに…」という訳です。

 

こういった際に共通することがあります。それは、取り組みが「内部」になっているということです。

 

例えば、「他社と連携して新たな仕事を請けることができる体制を整えました」といったことは、外部のお客様からみれば、売り手側の「内部」の話です。

 

あるいは、「友人知人たちと協力して普及販促イベントを開催しました」といったことも同様です。こういったことが仲間内のサークル活動のように見えてしまうのは、普及販売イベントという名の「内部」活動に過ぎないからです。

 

「やっているのに…」が「内部」である限り、状況が改善しないのは明らかです。そしてこのことは経営者として大切なことを忘れていると言わざるを得ません。

 

それは、「経営は“お客様活動”である」ということです。

 

この大切な意識が足りていないと、「イベントの集客が悪い」といったことを課題として掲げてしまいがちです。もうお分かりのことと思いますが、これが大いなる間違いの入口です。

 

イベントの開催というのは「内部」活動であり、開催するだけなら誰でもできることです。イベントは開催自体が目的ではなくて、一人でも多くのお客様に来ていただき、商品をお買い求めいただくことのはずです。つまり、目的は受注や販売です。

 

前述の話に戻りますが、「やっているのに…」の意識そのものが違うのです。経営が“お客様活動”であるとの意識を持てば、「やっている」はイコール結果なのです。

 

実に簡単な話しですが、結果が出ていないのは「やっていない」のと同じです。確かに何らかの取り組みは「やっている」のかもしれませんが、それは「やっている」のではなくて「できていない」と呼ぶべきことです。

 

ですから、本当の課題は「集客」ではなくて「できていない」ことです。本質的な課題を、気持ちが楽になる課題にすり替えてしまっては、状況改善は望めません。

 

面白いのは、「イベントを開催した」、「やった」によって、目的達成という感覚が生まれてしまうことです。それだけでも大変ということは重々承知していますが、それは従業員感覚であって、経営者としては残念としかお伝えしようがありません。

 

このように、「やっている」が「できていない」と認識されず、内部活動に留まってしまうのには構造的な理由があります。これこそが、結果が出ない真因と呼べるものでしょう。

 

それは、「やり方がある」と勘違いしていることです。ですから、「できていない」という真の反省に至らず、「上手くいく方法」探しに意識が向いてしまうのです。

 

大切なことなので改めて申し上げれば、「経営は“お客様活動”である」ということの意味は、御社独自のお客様対応ができないといけない、ということです。

 

もう少し補足すれば、他社が考えつかないこと、やりきれないこと…そういった領域で取り組みを考えていかない限り、真の“お客様活動”に至ることはできないということです。

 

そして、これが難しいのは、当たるかもしれないけど外れるかもしれない、上手くいくかもしれないけど失敗するかもしれないという挑戦領域に出なければならないことです。

 

実際、経営は勝負事です。もう一歩、その先の勝負に出ない限り、何をやっても内部活動留まりで状況を変えることはできません。

 

経営が“お客様活動”になっていますか?

覚悟を決めて勝負に出ていますか?

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