【第246話】経営目標を達成する企業とできない企業の違い

「今期は、いよいよ売上〇億円を達成するつもりです」と社長の言葉にも力がみなぎります。ご自身で創業され着実に成長を続け、もう一桁上の売上に手が届くところまできました。

 

経営陣が素晴らしいのは、決して数字だけを目標にしてきたのではないということです。経営数字を実現する中身の方、新サービスの開発、営業体制の強化、採算管理の高度化、人事制度の刷新など、経営の中身自体を強くすることに必死で取り組んできました。

 

その過程が極めて大変なことだということは、経営者であるならば容易にご想像いただけるものと思います。実際、経営者というのは、お客様だけでなく従業員に対しても、エネルギーを大量消費する極めて特殊な仕事です。

 

当たり前ですが、「高い目標を掲げる」ということは、同時にそれを達成するための努力も大変ということです。取り組みの難易度も高くなりますし、行動の徹底度もケタ違いです。

 

そのため、高い目標を掲げて目指してはみたものの、走り出してから現実を目の当たりにして「いや~マジ、大変、ヤバい」といったことで、ご自身が掲げた経営目標が実はどういうことであったのかを思い知らされることもあります。

 

こういったプレッシャーを受けながら、そこに立ち続けるというのは本当に大変なことです。そのため、多くの経営者が目標を下方修正します。

 

ところが、この際、目標の下方修正を正直にそのまま表す経営者は少ないものです。これがどういったカタチで現れてくるかといえば、面白いことに「もっと高い目標」が掲げられるのです。

 

目標がもっと高いということは達成できる可能性が低いため、本気で目指そうとするならば、このままでは…と大きなプレッシャーになるはずです。

 

ところが、「もっと高い目標」を掲げると、上手くいかなくて当然、失敗して当たり前…といったことで、逆に気持ちが楽になり得るのです。「目標が高いほど気持ちが楽」という不思議なことが起こります。

 

こうなると「達成できていない」ことを「目標達成を諦めていない」などと自己肯定し始めることさえ起こります。こうなってしまえば目標設定は限りなく「未来の理想像」でしかありません。

 

特に経営者経験が長く、そこに立っているのが辛くなってきている場合、こういった「達成困難なほどの極めて高い目標設定」が行われる傾向が強くなります。

 

なぜそういった目標設定が成されてしまうのかといえば、その理由は簡単です。社長として、経営者として、すでに「気持ちで負け始めている」、「心はもう折れている」ということを悟られたくないからです。

 

こうして「高い目標を掲げただけのユルい負け癖組織」ができあがります。ユルい組織の3条件は「弱いお客様」、「能力向上が不要」、「低価格」です。

 

掲げた目標が“本気”かどうかは、すぐに分かります。この3条件が反対になっているからです。自分たちより強いお客様に向けて、自分たちが高めた未来能力を使って、今よりも収益性を向上させようとするからです。これが目標を掲げることの本質です。

 

例えば、上場企業であれば経営計画は経営陣のコミットメントと見なされます。「達成してみせます」という宣言であり、株価が動くほどに重大なことです。

 

こうして、世の中に対して自社の存在意義を問い、経済的に自立し存続していくことの具体策が「目標達成」なのです。

 

経営者であるならば、理想や目標を掲げる以上、本気で目指さなければなりません。だからこそ、それは「自分の考え」であり「自分の言葉」であることが大切です。

 

誰か他人が掲げたテーマや流行りの思想に便乗しているようならば、それは自社の存在意義を他人任せにしているのと同じことです。

 

他人の思想をヒントにすることは必要ですが、「それそれ」などとそのまま便乗しているようでは、まだ“本気”と呼べるご自身の目標に仕上がってきたとは言えないのです。

 

自分の心に嘘偽りのない“本気”の目標を設定していますか?

いずれ…ではない必達を前提に目標設定していますか?

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