【第222話】経営ステージを上げる原因と結果の法則

「もう少しで売上が10億円に届きます。これでやっと市民権を得られます」というのは、御父上の会社を引き継ぎ、考えて努力して、ほぼ新しい会社に変身させながら経営を伸ばされてきた社長です。

 

こう仰る顔には自信がにじみ、これからの打ち手についても、大変、冒険的な構想をお聞かせいただきました。

 

ここでお気づきと思いますが、この方の自信の源は何でしょうか。売上高10億円という金額でしょうか。あるいは、そこから生まれる利益でしょうか。

 

確かに、ビジネスにおいておカネはパワーなので、とても大切なモノではあるのですが、実のところ、経営者によっては「おカネはあるけど不安」という状況があり得ます。つまり、おカネ以外に本質的に大切な部分があるのです。

 

それは何かと言われれば、おカネを生む方、大元の方です。これからの収益を生む強力な“事業フォーマット”です。

 

経営者にとっての自信は、決しておカネだけで生まれるモノではありません。この収益を生んでいる“事業フォーマット”の開発者としての自信です。

 

考えて、創意工夫して、やっと形にして、お客様に一生懸命に説明して、ご購入いただいて…、やっと売上が立つ。それをまた磨き上げながらチューニングして、この“事業フォーマット”を築き上げてきたことに対する自信です。

 

この“事業フォーマット”の力強さという原因があって、それが結果として売上利益につながっているという構図にあるのです。

 

このことは、経営において、売上利益といった数字は極めて大切ですが、これは結果指標として、あくまでも経営を測る事後的な情報量でしかありません。本当に大切なのはその中身、ポテンシャルです。

 

経営を次のステージに持ち上げようと考えるならば、そのステージというのは、今の経営の延長線上にはありません。“事業フォーマット”自体を、もう一段高いところに持ち上げる努力が必要です。

 

では、この努力というのはどのように進めればよいのか。ここで、多くの方がダークサイドに堕ちてしまいます。

 

そのダークサイドとは、「すぐに売上利益につながる」ことです。少し考えれば分かることですが、「三か月後から始められる」といった安易なビジネスが、経営を次のステージに持ち上げてくれることなどあり得ません。

 

常々、「経営は投資である」と申し上げているのは、経営において売上利益は後からついてくるものということです。これは、一種の投資リターンであって、まず先に投資しなければリターンは得られないということです。

 

そして、投資というとおカネを投じることのように思われるかもしれませんが、それは半分は当たっていますが、半分しか当たっていません。

 

何を投資するかといえば、「考える」ことです。そして、そのための「時間」です。加えて、これに伴い必要になるおカネです。力強い“事業フォーマット”を考えることこそ、事業経営の本質です。“事業フォーマット”はおカネで買うことのできない経営の本質です。

 

強くてオリジナルな“事業フォーマット”を「考える」ことを放棄して、コピペの“事業フォーマット”で安売り全国展開…といったことで生み出した売上利益が、経営者に自信をもたらすことはありません。結果である売上利益から逆算するからコピペに堕ちるのです。

 

どんなに、革新だ、価格イノベーションだ、社会貢献だ…などと言ったところで、所詮、その本質部分がコピペであり、そのことはご本人が一番よく分かっているからです。

 

経営を次のステージに持ち上げようと考えるならば、少なくとも1年の努力投資を覚悟して、例え最初は小さかったとしても、成長の原因となるオリジナルな“事業フォーマット”を考えることが大切です。

 

オリジナルな“事業フォーマット”を考えていますか?

今年一年をそのための努力投資の年にしてみませんか?

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