【第84話】伸びる会社が大切にしている経営哲学の本質

そもそも、会社というのはとても不思議な存在です。そこに在るようで本当は何も在りません。

 

会社とは、法人、つまり単に法律上認められた人格なのであって、物理的な実態が存在するものではないのです。

 

ですから、とても淡白に会社を見つめるとするならば、経済活動や決算上の単なる括りでしかありません。

 

ところが、我々は会社という括りに特別な思い入れを抱いています。「あの会社は凄い」とか「この会社で働けて良かった」といった会話がそれを現しています。これは一体何を指しているのでしょうか。

 

まず言えるのは、会社というのはチームだということです。会社に入るということはそのチームの一員になることを意味します。

 

そして明らかなのは、このチームというのは経済的な共通目的のために動いてはいるものの、それだけではない社会的な意味を持っているということです。

 

よって、会社を成長・維持させていこうと考えれば、拠って立つ考え方が必要です。理想の未来像や、事業活動の使命感、チームとしての価値観。。。といったことに対する考え方、すなわち「経営哲学」が大切なのです。

 

この経営哲学がチームの存在や活動に意味を与え、そこで働く人にアイデンティティをもたらします。従業員がアイデンティティを持って働く会社とそうでない会社、経営の成長発展が異なってくるのは自ずと明らかです。

 

従業員はアイデンティティ形成の担い手であり、実は会社の実態そのものでもあります。従業員を単なるスキルの提供者と見るか、コーポレートアイデンティティの体現者と見るかで、経営は決定的に違うものになります。

 

従業員を単なるスキルの提供者と見れば、使えなければ捨てるだけの存在になってしまいます。片や、従業員をコーポレートアイデンティティの体現者と見れば、目的を共有する愛おしい仲間であり、育てようとするのが人の性というものではないでしょうか。

 

株式会社という仕組みが、人類を豊かにした大発明であったことは否定する余地のないことですが、会社は株主のものという株主主権論の強まりが、結局のところ、経営を破局に追い込むという大いなるパラドックスに直面しています。

 

特に上場企業においては、不特定多数の株主に対する配慮が経営上の重要課題であり、これと同列に従業員への配慮を語る事など許されないといった風潮さえあります。

 

人生を賭けてその会社で働いている経営者や従業員と、クリック一つで株主になったり止めたりできる株主とで、どちらがより大きなリスクを負っているか。。。

 

株主と言っても機関投資家など、仕事として投資を行っている方々もいらっしゃるので、単純に比べられるものではありませんが、やはり何といっても従業員なくして会社を語ることはできません。

 

会社の実態とは経営者をはじめとしたそこで働く従業員であり、当然のことながら、登記簿や決算書のことなどではありません。

 

実際、弊社がお手伝いさせていただいている企業の社長殿やプロジェクトリーダー殿は、戦略立案や仕組み構築という大変辛い思考過程にあっても、自社の経営哲学をとても強く意識されていますし、弊社としてもそれを重要視します。

 

次なる打ち手によってアイデンティティが失われるのであれば、それは本末転倒だということを良くご存知なのです。

 

会社の実態とはそこで働く人であり、人を大切にすることが経営哲学の核心でもあります。ですから、真の人財育成とは、スキル訓練に留まらず、アイデンティティを高める経営哲学の理解浸透なのです。

 

社長殿には自社の経営哲学を真摯に語っていただきたいのです。これこそが社長という立場の人に与えられた特別に凛々しい姿なのですから。

 

従業員を大切にすると宣言していますか?

従業員に経営哲学をとことん説いていますか?

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