【第65話】収益性を飛躍的に向上させるマーケティングの進め方

とある新商品が売れ行き絶好調です。しかも、ほとんど自動的に。

 

その企画チームは、社長を中心に発足当初から新商品を作ろうとは考えていませんでした。もちろん新商品は必要なのですが、それだけを目標にはしていませんでした。

 

では、どんな目標設定だったのか。

 

それは「事業の仕組みを構築すること」でした。明確に事業の仕組みと言葉で設定していた訳ではありませんが、売れていくまでの流れを考える事に注力していました。

 

ですから、事業企画の早い段階から専任者を配置し事業採算のシミュレーションを行っていましたし、そのシミュレーションの考え方も、商品設計の変更や検討の進捗に合わせて、適宜、更新していきました。

 

こういったシミュレーションを通じて、飛躍的な収益性を達成するためにはどんな商品設計が求められるのか、原価を踏まえつつ販売単価をどの程度まで上げていけるか、販売の仕組みをどう構築するか、在庫や広告といった資本投下から収益化までの時間遅れに対して手元にどの程度のキャッシュが必要か。。。

 

議論は突破口を目指して、建設的に重ねられていきました。そして、より当社らしいものになっていきました。

 

このチームが作ったのは、経営の外側から見れば「新商品」に見えますが、経営の内側からみれば「売れていく仕組み」です。

 

つまり、このチームは資本投下に対して効率良く利益を生み出すエンジンを設計したのです。

 

「マーケティング」という用語をよく聞きます。経営とは市場活動なので、そういう意味ではマーケティングはほぼ経営と同義ということになってしまいます。その考え方もありますが、もう少し詳しく捉えていくためには補足が必要です。

 

多くの企業では「マーケティング」が仕事探しや顧客探しのリサーチであったり、単なる販売(セールス)とごっちゃにされています。

 

「マーケティング」に対するこの様な誤解の最も重大な問題点は、売る行動そのものに焦点が当たってしまっているということです。

 

「マーケティング」の意味するところは、売れていくようにするための“前準備”だということを見逃しているのです。

 

つまり、「マーケティング」と言った場合、資金や労働時間といった資本投下に対していかに効率よく利益を生み出すかを事前に考えておくことを指しています。

 

売上や利益が落ちてきたときに、多くの経営者が販売不振を原因と考えてしまいます。これは結果の捉え方として間違いではありませんが、経営の問題を本質的に捉えていないという点で不十分と言わざるを得ません。

 

売上や利益は経営にとって重要な結果指標であることは言うまでもありません。経営は市場活動ですので、市場からの反応が落ちているということは大問題です。

 

ですが、一方で経営の内部に目を向ければ、仕組みとしての効率が落ちてきているのだということについて気付く必要があります。

 

下がっているのは効率なのです。

 

効率が落ちた仕組みであれば、資本投下を増やしてもそこから得られる利益は増えない可能性が高いのです。

 

事業経営は、かつての製品競争時代から、仕組み対仕組みの競争時代へと移り変わっています。販売を効率的に進めるための“前準備”、すなわち自社独自の仕組みこそが、競争の核であるということについて認識しておくことが肝要です。

 

少しの間、“前準備”で苦労して後は楽をするか。“前準備”を怠っていつまでも苦労するか。考え方一つで未来を変えていくことができるのです。

 

御社のエンジンの効率は落ちてきていませんか?

“前準備”に本気で取組み、仕組みを構築していますか?

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