【第63話】ところで“経営戦略”って何ですか?

経営に携わる仕事をしていれば、“経営戦略”という言葉を至る所で耳にされることでしょう。

 

経営が順調であればなおのこと、ご自身なりに解釈を与えておく事はムダにはならないナレッジワークと言えるでしょう。

 

「戦略不在!」などと言われたとしたら、それは決して褒め言葉ではありません。では、なぜ“経営戦略”が不在だとよろしくないのでしょうか?

 

まず、最初に考えられるのは「方向性が見えない」という意味です。“戦略”の最も大きな意図は組織の「舵取り」です。

 

良くお見かけする戦略不在の事業計画書は、今後の課題や実施事項が羅列されているだけというものです。それはアクションプランであって、それらの先に何を目指しているのかが見えない、すなわち方向性が見えないということです。

 

そういった内容であれば、それはチェックリストやToDoリストと呼ぶべきものです。あるいは希望的観測を書いたという意味においてはwishリストなのかもしれません。

 

ですから、工場を建てて。。。とか、お店を出して。。。とおっしゃるのですが、それは工場建設計画や店舗開店計画であって、経営戦略ではありません。計画が具体的であることは大切ですが、方向性を伴っていなければ打ち手として散漫と言わざるを得ません。

 

この食い違いの源は時間軸です。頭の中にある時間軸が短すぎるのです。その先に想いが至っていることが大切です。そう意識することで事業を単発ではなくて展開としてイメージできるようになっていきます。

 

次に考えられるのが、優先順位感の不足です。つまり、どんな「能力」、どんな「お客様」、どんな「事業領域」を大切にしていくのかという濃淡です。

 

人も資金も時間も限られています。そういった制約条件の下でどこにそれらを寄せるのか、ということについて、予めある程度決めておくことが必要です。

 

中長期的な視点で方向性があり、優先順位が示されていなければ、マンパワーが散り散りになり、成果を期待することが難しくなってしまうからです。

 

そして、続いて考えられるのが具体的なアクション上の無理です。こういった技術を開発して。。。こういった設備を導入して。。。こういった有能な人財を獲得して。。。

 

そりゃ無理でしょ、そんな期間で納まらないのでは。。。その資金はどうやって調達するの。。。そんな人どこにいるの。。。といった質問をしたくなる部分です。

 

これまで「戦略不在!」の視点からその中身を見てきましたが、これらをもう一度整理すると“経営戦略”を次のようにまとめることができます。

 

【経営戦略】

○変り方:方向性、目標設定、変化適応…

○勝ち方:能力獲得、顧客拡大、領域拡大…

○進め方:工程、予算、人員配置…

 

「“経営戦略”とは、「変わり方」、「勝ち方」、「進め方」といった経営の大筋について、意志を現したもの。」とえいます。

 

その先を見据えているからこそ、やるべき今の仕事を真摯に熟すことができる。社員全員が同じ方向を目指していることが実感できるから、真剣に取り組むことができる。そして経験が能力として積み上がりもっと強くなっていく。

 

時間の経過と共に強くなる経営、時間の経過を味方に着ける経営、そのために“経営戦略”が必要なのです。

 

これは種撒きに似ています。どんな種を、どんな所に、どのくらい撒くのか。。。考えずに撒くか、考えて撒くか。時間とともに結果の差が大きくなることくらい直ぐに分かります。

 

そんな自社独自の未来像こそが“経営戦略”の本質なのです。折角、「経営」というお仕事をされているのですから、こんな楽しい大人の妄想タイムをもっと楽しんでみては如何でしょうか。

 

御社では“経営戦略”を考えていますか?

しっかりと本気で自社の未来を妄想していますか?

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