【第550話】設備投資で失敗しない夢の描き方

「以前勤めていた会社のように〇〇設備を揃えた会社にしたいんです」と新社長。いずれご両親の会社を継ぐ予定で同業他社でビジネス修行をしてきました。

 

当然のことながら、思想や社風といったことを受け継ぎ伝承することはとても大切なことです。

 

ところが、設備…といったことを真似するとなれば話は別です。

 

ビジネスは日進月歩、IoT、AIといったことで制御装置も進化し、生産設備もより高度になっています。

 

例えば、段取り替えや加工時間が短くなり、これまでに出来なかったような加工ができたり、そうしたことで金型が要らなくなったり…といったことです。

 

さらに言えば、そうした設備を調達する資金的な仕組みも進化しています。自己資金や融資、補助金といったことの他、リースやサブスク…といった新たな課金制度も生まれています。

 

もし、こうした経営上の運命を分かつような重要な意思決定、設備投資を“従前”、前に習って…で行ってしまったとすれば、それは出来上がった時点で既に旧型、負けが決まってしまいます。

 

経営において設備投資の意思決定が重要なのは、実施してしまったらそう簡単には変えられない、元に戻せない、影響期間が長い…といった理由に拠ります。

 

また、減価償却費やその算出の前提となる法定耐用年数、固定資産税といった会計税務にも縛られ、経営数字面でも後からこちらの努力で何とかできるようなものではありません。

 

このような理由から、設備投資にあたってはビジネス上の進歩発展を織り込んでおく戦略的な意図が大切です。

 

ただし、その意図は、ビジネス上の目指す戦略を優先すべきです。

 

決して、会計制度や補助金といったことに汲みしすぎるべきではありません。そうした制度を検討の中心に織り込みすぎると、経営の本筋を外れがちです。

 

こうした会計税制、社会制度を織り込んでいると、どこか賢い検討のように見えてしまうこともありますが、こうした意識こそ、後戻りできない失敗の原因になりがちです。

 

少し話がまどろっこしくなりましたが、経営を更新していこうとするならば、ちょっとした先取り意識が大切です。

 

ここで「ちょっとした先取り意識」とお伝えしているのには理由があります。

 

全く新しい…というだけの設備に飛びつくのはどこかカッコ良いですが賢くはありません。もう少し実績や実用性が確認された段階に到達したものを投資対象とするのがコツです。

 

我々は商売で設備に投資しようとしています。これは趣味などではありません。つまり、ビジネスとして投資効果を最大化しようとすれば、そのリスク評価も大切だということです。

 

大切なことなので補足すれば、設備投資することによるメリットだけでなくデメリットも評価しておくということです。

 

設備投資は経営の根幹となる意思決定です。

 

設備投資はどうしても“夢”を描きがちな場面です。ですが、事業経営において“夢”そのものの実現を買うことはできません。

 

立派な自社ビル、大きな工場、綺麗な店舗…、確かに夢の肖像ではありますが、経営における夢とはもっと中身的なことのはずです。

 

夢はコツコツと積み上げて実現していく中身的なものです。一発でおカネで買えるようなものではありません。

 

これは実に単純な話です。設備投資もまたその夢の実現のための手段に過ぎません。目に見えるような設備を夢と勘違いしてしまうことが失敗を生み出します。

 

設備投資が目的化してしまっていませんか?

設備投資のその先の夢を見据えていますか?

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