【第533話】高収益体質に生まれ変わる入口戦略

「目指す収益性に対してビジネスの“型”が違う…と言われた時には少しカチンときましたが、今は良く分かります」と社長。

 

売上が徐々に低迷し生産余力が生まれてしまい、それを活かそうと他社商品のOEM製造を受けてきました。今は、売上を持ち上げOEMのような能力の切売り状態を卒業して高収益企業へと変貌を遂げています。

 

ちなみに、“高収益”という言葉は誤解も多いため、まずその意味合いを確認します。

 

会計上の用語で“収益”は入ってくるおカネのことです。そして“費用”は出ていくおカネということで「収益-費用=利益(損失)」という損益計算が成り立っています。

 

このように、収益は入ってくるおカネですから、もっともシンプルに考えれば“売上”を指し、高収益という響きはどうしても「売上規模が大きい」と考えがちです。

 

ここでお伝えしている高収益とは、いわゆる“収益性”です。つまり、“利益”の概念です。大切な点なのでもう少し補足すれば、高収益とは、「売上もさることながらしっかりと利益を出せている」という状況のことです。

 

不思議なもので、こうした高収益が、いつも出せる企業と、そうでない企業が在るという事実です。つまり、収益構造、体質に違いがあります。

 

どうしても、売上が増えれば利益が増える…と考えてしまいがちです。ですから、もっともっと…と売上拡大を目指してしまいます。

 

もちろん、利益は売上からもたらされるものですから、無関係ではありません。しかし、高収益は、売上が利益を生み出す仕組みの違いが支配的であるとお伝えしています。

 

もっと言ってしまえば、「売上は買えるが利益は買えない」ということです。店舗を増やせば売上は増えるでしょうが、利益が増えるかといえばそれは違います。広告を打てば売上は増えるでしょうが、むしろ利益を食いつぶすことの方が多いでしょう。

 

簡単に言えば、売上を増やしたとしても必ずしも高収益になる訳ではない…ということです。高収益を生み出すのは収益構造の違いですから、この違いで試合前に勝負が決まってしまうのです。

 

では、高収益を生み出す収益構造とは、どのように準備すれば良いのでしょうか?

 

大切なヒントは先人方が教えてくれています。それは古くから商売人に伝わる「売上は感謝、利益は知恵」という教えです。

 

まず、「売上は感謝」というのは分かりやすいことです。お客様が望む商品・サービスを提供しているのですから、それは「ありがとう」と感謝されるだろうということです。

 

ところが多くの場合、ここで問題が起こります。それは“価格”です。お客様はなるべく安く…と考えているということです。

 

つまり、安く提供すれば「感謝」だけは手に入りますが、赤字、事業の存続は叶わない…という状況が訪れることは言うまでもありません。

 

こうした売り手と買い手の交換価格を考えれば、そもそも経営は上手くやって損益トントン…という力学が働いていることは知っておかなければなりません。

 

しかし、売り手側は、多くのリスク、先行投資、固定費を抱えて商品サービスを提供しています。そのリスク分をどのように価格に織り込めるか、お客様にご負担いただけるか…が存続の鍵になってきます。

 

とはいえ、それらはこちら側の話、それをそのままお客様にお願いしたところで、ご理解ご協力いただけるはずもありません。

 

そこで「利益は知恵」の出番です。商品サービスに価格の理由、すなわち価値を与えなければなりません。販売を伸ばそうとする前に価値=価格への「知恵」が大切です。

 

まずは、商品サービスの価値を高める知恵、創意工夫が大切です。

 

販売数量、売上規模で利益を出そうとしてしまっていませんか?

商品価値開発に立ち戻ってから販売拡大しようとしていますか?

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