【第531話】そもそも成長しなければいけないのか…の答え

「そこまで…、自分たちにできるでしょうか?」と社長。現業の未来、成長限界、もっとハッキリと言えば、この先が無い…をヒシヒシと感じ、新たな道、業態転換への挑戦が始まりました。

 

様々な企業で、創業からの道のり、企業の歴史、苦難の経験…、今に至るまでのご苦労をお聞きします。

 

そうした中で、経営者が勇気づけられている実話、そう在りたいというお話も耳にします。

 

習字の筆を作ってきた企業。筆記用具の普及から筆の需要が減少。筆のなめらかな感触を活かして、化粧筆メーカーへと転身。

 

鉄製の小型船を作っていた造船企業。強化プラスチック製の船に置き換わってきたことで受注が減少。鉄を曲げる技術を活かして、建設業へと転身。

 

鎧、刀といった金属製品を作ってきた板金企業。そうした需要の減少から、切断、叩き、曲げ、磨きの技術を活かして女性向け髪飾りメーカーへと転身。

 

馬具を作っていた革製品業、車の普及で馬に乗らなくなったため需要が減少。革加工技術を活かしてバッグメーカーへと転身。

 

こうした実話が、経営者にとっての逸話として語り継がれているのには、理由があります。

 

それは、途絶えさせなかった…ということです。

 

これを逆から見れば、経営を続けていくというのは大変、現状維持だって簡単ではないと感じておられるということです。

 

実際、多くの華々しい広告が、現状維持に対する最後の博打、苦肉の策だったりすることもしばしばです。

 

ですから、成長発展、成長戦略…“成長”といった言葉を聞くだけで、経営者としては責められているような気持になり、反論したい気持ちになったりするものです。

 

今だってこんなに大変なんだ、やりたいことは分かっているけどカネもないしヒトもいない、市場自体が縮小しているのだから当社のせいではない…、そうしたお気持ち、とてもよく分かります。

 

そして一方で、「やりたいことはあるのですか?」と聞けば、大抵の場合、しっかりとやりたいことをお持ちです。

 

もう、答えは出ています。もう想っておられます。分かっているけど踏み出せていない…とお分かりです。

 

企業経営の成長発展、存続を考える場合、大切な視点は「永さ」、時間軸です。いわゆる戦略というのは、一手だけでは成し得ない目標達成に向かって、長期的視点を持って、一手一手、局面に立ち向かっていくことです。

 

つまり、目指す目標があるのならば、まずは小さくてもその一手を繰り出すしか目標達成を成し遂げる道はありません。

 

成長戦略とは決して売上を伸ばすことだけではありません。成長には量的成長と質的成長があります。

 

そもそも論として、常に質的成長を成し遂げていなければ、経営を維持することさえできないことです。

 

あるいは、量的成長だけに目が向いてしまい、質的成長の核となる付加価値を生み出そうとすることを忘れ、経営がおカネ集めだけの活動に堕ちてしまったならば、その先が行き止まりであることは言うまでもないことです。

 

永い目で見て、経営者の成長戦略の本質はゴーイングコンサーン、継続企業、続けることです。現状維持にも成長意識が大切です。今のまま…は衰退、貯金を食いつぶしているようなものです。

 

成長とは、自らの意志を持って変わっていくこと。変わることへのリスクテイクが大切です。

 

経営環境の変化で貯金を食いつぶしていませんか?

続けるためにも変わるリスクを取りにいきませんか?

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