【第530話】ネット時代の販売戦略は商品説明まで開発せよ!
「ネット販売って、いくら位のモノまで売れるんでしょうか?」といった議論をしていたのはもう30年ほど前のこと。
マイクロソフトからWindows95が発売され、一般家庭にインターネットが普及し始め、検索サイトのYahoo、ネットショップのAmazonが生まれました。
そうしたネット販売の黎明期、周囲では、そこで販売できるモノの単価として「1万円の壁」ということが言われていました。1万円までのモノならそこそこ売れるが、それ以上のモノはそう簡単には売れない…というのが通説でした。
そう考えると、アマゾンが「本」という商品から販売を開始したことは、理に適った選択であったことが分かります。本やCDといった類は、概ね1万円未満であり、そして輸送しやすい商品群です。
当時、「一千万円級のモノをネットで売ってみせる」とネットショップビジネスに挑戦していた方がいらっしゃいましたが、まだ時代が早かったようです。
昨今、みなさまはネットでどのくらいのモノまで購入されているでしょうか。概ね数十万円程までであれば、ネットでの購入に違和感は無くなっているものと思います。
そして、購買行動の変化はこうした“個人”よりもむしろ“法人”でもっと大きなことが起こっています。
当然のことながら法人間取引というのは、多種多様な要求や仕様がありますので、そうしたことの擦り合わせが必要ですから、ポチっと一発で購入が完了するようなものではありません。
しかし、こうした法人間取引であっても、その多くの新規取引が「ネット」から始まってきているという事実は知っておかなければならない大切な経営情報です。
従来、そうした専門的な情報を集めようとすれば、専門の商社に問い合わせたり、知人を頼ったり、業界紙の広告を見たり…といったいわばアナログなものでした。
こうした慣習も少しずつ変化し、ネット上の情報量も増えたことで、法人であっても従来的な慣習にとらわれることなく検索するようになっているということです。
そのため、検索されやすいようにSEO対策を行ったり、検索広告を打ったり…といったことがなされてきましたが、多くの企業が思ったような成果を出せずにいます。
なぜ成果が出ないのか…といえばその原因はとてもシンプルです。
それは、「商品は物理的にでき上がっているものの、商品説明ができていない」からです。
ここでいう商品説明とは、技術者の書く「取扱説明書」のことではありません。お客様が商品購入を検討するにあたって必要な情報、判断要素、価値便益といったことです。
多くの場合、その商品のことを説明してしまいます。これが失敗の原因です。
お客様が検討しているのは、その商品を購入した後…のことです。そうであるならば、購入後を想像できるような説明が必要であることは言うまでもありません。
お客様は、何らかの目的達成のために御社の商品購入を検討しています。つまり、御社の商品は目的達成のための道具です。
足りてる時代…、商品を販売するということは、お客様の目的達成に一役買って出ようとすることに他なりません。
営業トークが、自社商品の自慢話に留まっているか。あるいは、お客様への貢献意欲に満ちているか。
ホームページ、パンフレット、フライヤー…、営業媒体を見ればその意識の在り所は一目瞭然です。
ネット時代、お客様も多くの情報を持っています。そうした激戦の中で新たなご縁を頂こうと願うならば、商品説明はお客様への貢献意欲を伝えることが大切です。
後はそちらで…貢献範囲を区切ってしまっていませんか?
お客様は買うだけ…までこちらで準備しようとしていますか?