【第529話】自力で販売を伸ばすプロポジション経営の実践法

「やっと販売のコツが分かってきました」と老舗企業の専務。現社長の継承にあたり、経営手腕を高めるために新たな新分野進出プロジェクトの立ち上げを任されています。

 

ここで、“新分野進出”と聞けば、挑戦的、積極的、革新的…前向きな取組み姿勢に聞こえますが、多くの場合、そうではなかったりします。

 

むしろ、新分野進出という名の下で「こんなことできるので、何か仕事…ありませんか?」、「新たなお取引先をご紹介いただけませんか?」、「もうヤバいので何とか仕事もらえませんか?」だったりします。

 

こうした経営姿勢というのは、昔の言葉でいえば、いわば「お願い営業」。こちらの事情を斟酌いただき、あわよくば助けて欲しい…というものです。

 

経済の全体が伸びている状況にあれば、こうした「お願い」もご愛嬌ということで、客先殿も笑いながら多少のご協力を得られる時代もあったでしょう。

 

しかし、今は究極的に経営効率が求められる時代、そうした遊金は世の中に存在しないと考えるべき時代です。

 

こうした時代にあって大切な意識は、次なる挑戦というものはいわば「敗者復活戦」だということです。

 

経営は常に先を行っている人が居るものです。もっと大きくなった企業も居ます。それを前提とすれば、今からやる…ということはどうあがいても後発だということです。

 

そうであれば、これまでやれてこなかった、勝ててこなかった勝負に挑む…という意味で、新たな挑戦とは、常に今度こそ…の敗者復活戦なのです。

 

どれだけ、これは新しい…と言ったところで、これまでの積み上げがあっての新しいでしかないのです。

 

しかし、後発を嘆く必要もありません。それは先人たちが多くの実験をしてくれてきたからです。

 

そうした先人たちが残してくれた資産をベースに、後発ながらもその先に行くためのアプローチがあります。

 

それが“提案型”経営、プロポジション戦略です。御社の経営が自らビジネスを生み出す提案型になっているかどうかをチェックする方法があります。

 

それは、御社の商品サービスの説明文を書いて下さい…といえばすぐに分かります。

 

経営が請負型の場合、自社のできることの説明や、商品の特徴説明に留まります。

 

一方、経営が提案型の場合、その商品サービスを購入した後、使った後にどうなるか…というお客様の話が展開されます。

 

大切なことなのでもう少し補足すれば、商品サービスのご提案文を書けないのは、日本語力が足りないのではなくて、日頃、言われた仕事をしている、言われたことまでしかやっていない、その先まで考えていない…からに他なりません。

 

商品サービスの提案とは、購入後をご提案することです。決してその商品サービス自体を説明するものではありません。

 

従来、商品サービスの販売促進は、その商品サービスに触れること、あるいは触れる時間を長くすること…と考えられてきました。

 

今、情報化の時代、まずは検索で欲しい商品を探す時代、「商品との接触」は「商品情報との接触」に取って代わっています。

 

見ることも、触ることも、試すこともなく…商品情報だけで購入の決定を促せるレベルでの情報発信が求められています。

 

それが提案型であり、お客様様に商品サービスの購入後をお伝えすることなのです。

 

御社の商品サービスは“提案型”になっていますか?

後発組、敗者復活の挑戦者意識で新分野進出に挑んでますか?

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