【第515話】売上高利益率10%超の高収益を実現するための絶対条件

「何とか売上は伸ばしてきたんですが、薄利なところが課題でしょうか…」と社長。

 

こちらの商品、一種の必需財のため売上にはなるのですが、とてもシンプルであるが故に、なかなか付加価値を上げることができず薄利…という状況が永く続いてきました。

 

まずここで、成長戦略、高収益化戦略を考える上で、大切な前提を確認しておきたいと思います。

 

その昔、経済が伸びている時代であれば、需要自体が伸びるため、そこに商品サービスを提供できさえすれば売れていく…という構図がありました。

 

しかし今は「足りてる時代」です。足りてる…のですから、何らかの購入を喚起する刺激が無い限り、購入という行動が生まれにくい時代です。

 

ただし、「足りている」といっても、これは「既存程度の商品サービス市場」という意味であって、「新たな商品サービス市場」はこれからの話だということです。

 

足りている既存市場で戦う場合、そこは価格競争の世界。価格が今の半分になっても戦い続ける…くらいの覚悟がないと採算を創っていくことが難しい世界です。

 

一方、新たな商品サービス市場というのは、時代の変化に応じた創意工夫で生み出し得るものです。

 

足りてる時代、新商品の開発とは需要創造であり、新たな需要に応えるような新商品、新サービスの開発に挑んでいくことが大切です。

 

加えて、売れるだけでなく一定の利益を生み出すようなビジネスに仕上げていくためには、大きく2つのステップが必要です。

 

まず絶対に欠かせない第1ステップは、「商品サービスの標準化」です。

 

ここで「商品サービスの標準化」とは、御社の提供できる役務を、お客様が欲しいであろうテーマで、いくつかの塊として商品サービスを“標準メニュー化”することです。

 

これは、材料費、労務費、一般管理費…といった見積積算のビジネスを脱却するために絶対的に必要なステップです。

 

ちなみに、見積積算ビジネスの問題は、ビジネスが「労務費の現金化」だからです。

 

つまり、例え労働が高度であったとしても市況で単価が決められ、それに労働時間を掛けて積算されるため、独自の創意工夫による付加価値が反映しにくい方式だからです。

 

これを脱却するために、まずは商品サービスを標準メニュー化することで、このメニューに対して、自社で“値付け”可能な下地が生まれます。

 

続いて第2ステップは、この“値付け”に関することです。

 

多くの経営者は、商品サービスに値段が付けられていると考えています。ですから、値付けにあたっても競合商品を参照して、少しだけ安く…といったことが起こります。

 

ここで、大切な前提を思い出してください。足りてる時代…なのです。確かに安いことは購入動機になりやすいものの、それだけで購入を喚起しようとするならば、相当に安くなければならないことは容易に想像できることです。

 

足りてる時代…、商売をしにくい時代ですが、面白い特徴もあります。それは、モノ的には足りていても、常に「もっと…」という需要が存在していることです。

 

例えば、ダイエットであれば「もっと楽に痩せたい」。ゴルフであれば「もっと簡単に飛ばしたい」、レストランであれば「もっと楽しく食事したい」といったことです。

 

足りてる時代にあっても常に足りてない市場があります。御社の商品サービスが、どのような「もっと」を実現することができるのか。それが“値付け”の拠り所です。

 

御社渾身の新商品・新サービスが、モノ的な特徴に留まらず、その特徴がもたらす「もっと」まで開発できたならば、販売も利益性も高める道が拓けることでしょう。

 

お客様のどんな「もっと」に応えようとしていますか?

その「もっと」は標準メニュー化されて値付けしていますか?

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