【第512話】お客様が記憶するのは何なのか?

「この新商品は、これまでの概念を覆すものなんです」と社長。

 

ビジネスにおいて、概念が変わった…と言わしめる新商品開発というのは、確かに目指すところではあります。

 

ところが面白いことに、「これは全く新しい商品なんです」というモノが、ヒットにつながっているかといえば、必ずしもそうではないケースが多いのも事実です。

 

こうした際、時代が早かった、良さが伝わっていない、お客様は分かってない…といったことで、諦めてしまいそうになるお気持ちはとても良く分かります。

 

ですが、もう一歩だけ、その全然売れない…を覆すための取組みが残されています。

 

それが何かといえば、コンセプトメイクです。新商品、新サービスといった新たなビジネスのみならず、既存の商品サービスであってもコンセプトメイクしなおす、リコンセプトすることで、息を吹き返すことも可能です。

 

ちなみに、ビジネス構築、商品サービス開発において、“コンセプト”が大切と言われます。

 

ここで、コンセプトとは直訳すれば“概念”です。つまり、その新商品サービス、新事業がどのようなものなのか…ということを言い表す概念、価値観、思想といったことです。

 

例えば身近なところであれば、町中華とホテル中華といったことです。

 

いかがでしょうか? 同じ中華料理であっても、その“感じ”が違うことを、お分かりいただけるものと思います。

 

ビジネスにおける“コンセプト”とは、こうした商品サービスの輪郭、ビジネスのジャンルと考えると分かりやすいでしょう。

 

ここで、ジャンルとは、種類、種別、様式…といったことです。

 

ただし、コンセプトメイクにあたって、ビジネスの根本類型に対する理解不足から間違い、失敗が起こります。

 

ちなみに、ビジネスは「作る」と「売る」に大別されます。作るビジネスは付加価値のビジネス。売るビジネスは値入、手数料のビジネスです。

 

どちらが良い悪いといったことはありませんが、付加価値のビジネスを目指すならば「作る」に軸足を置くことが欠かせません。

 

そうであるならば、コンセプトメイクも「作る」に軸を置いていることが大切です。良く耳にするのは「〇〇をお手軽に」といったことをコンセプトとしていることです。

 

コンセプトとは概念ですから、こうした主張も確かにコンセプトではあります。しかし「お手軽に」というのは商品サービスのことではなく、お客様にとっての入手のし易さ、安価…といったことであり、商品サービス自体のことに触れていないことが分かります。

 

大切なことなので補足すれば、優れたコンセプトとは常に商品サービスそのものにあって、その売り方や提供方法のことではないということです。

 

例えば、一人焼肉、お手軽天ぷら、パン食べ放題…はいかかでしょうか?

 

こうしたことは、いわゆる提供スタイルという程度のことであって、どんな焼肉、どんな天ぷら、どんなパン…という核の部分が抜けているという意味で、ビジネスにおけるコンセプトでは在り得ないのです。

 

往々にして、作り手にとって、特徴、良さ、こだわり…といったことは、とても表現が難しいことでもあります。

 

ですから、趣味程度のことであれば、そうした表現が難しい曖昧さを、明確にしようとすることなく、そのままに愉しむのもよろしいでしょう。

 

しかし、我々商売人はお客様あって生かされる存在です。お客様に伝えてナンボなのです。お客様が御社を覚えるのは商品サービスそのものではなく、その背景に持つ思想的輪郭、コンセプトなのです。

 

ご自身の商品サービス、ビジネスを“コンセプト”で表現できていますか?

コンセプトはご自身で考えた輪郭、ジャンルとして定義できていますか?

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