【第510話】請型を脱して自社看板ビジネスで勝負するための必勝マインド
「技術力を活かして自社開発の新商品を考えているんですが…」と社長。
例え、初めは小さかったとしても、自ら動いて創った売上を持っているかどうかというのは、とても大切なことです。
ただし、この例え小さい売上でさえも自ら創り上げるというのは、請型ビジネスの企業にとっては、異次元の難しさがあります。
ですから、挑戦にあたって、この“難しさ”が何なのかを理解しておくことは、自社看板ビジネスで売上を創っていくために不可欠なことです。
まず、請型ビジネスとは、どんなものかを確認していきましょう。
請型ビジネスとは、いわば“能力”をそのまま売っているビジネスです。例えば、「金属加工、承ります」という仕事です。「英語翻訳、お任せください」も同様です。
このように、お客様からのご要求にお応えできる…というのは確かに能力ではあるのですが、あくまでもその能力をそのまま販売している状況です。
そして、お気づきと思いますが、こうしたビジネス構造というのは、お客様側がニーズや顧客を創っているという意味で、「請型」なのです。
前述の社長が、“技術力”と呼んでいることは、世の中的に見れば“技能力”であり、この技能をそのまま売っているという意味で今は請型の経営です。
ここで、“技術”とは開発設計といったことで商品サービスの付加価値を考える能力、“技能”とは製造といったことで開発設計された商品サービスを実物化する能力です。
つまり、請型ビジネスを展開している場合、実際にモノを作る能力を持っていることになります。ですから、作るだけならできてしまいます。
実際、大手製造業の下請けである場合の他、昨今では大手小売業のプライベート商品をOEMで作っていたりする場合もあります。
ところが、それをしっかりと自社看板商品として売上利益に仕上げていくというのは一筋縄ではいきません。
その理由は明白です。もうお分かりと思いますが製造能力を有していたとしても、設計開発といった上流側の能力が足りていないからです。
モノとしては造れるけど、顧客創造にまで創り込めない…のです。
自社の経営が請型かどうかは、冷静にホームページを見てみてください。そうすれば一目瞭然です。
弊社はこんなことできます、こんな設備を持っています、こんな実績があります…といったことが書いてあったならば、それは「請型」です。
そうした中、決意を新たに自社看板ビジネスで勝負しようとするならば、まずは今の技能力に技術力を足していくことを決心しなければなりません。
つまり、モノを造るまえに、どんなモノを創るのか…を考えるという工程に対する理解です。
大切な点なので補足すれば、「モノを造る」というのは商品をカタチに仕上げること、「モノを創る」とは、いわばお客様への付加価値を考えることです。
自社看板ビジネスとは、いわば新たな「顧客の創造」というのがその実体なのです。
ある意味、請型経営は「私はこんなに素晴らしい人間です」と言いながら、お客様からのラブレターを待っています。
一方、自社看板ビジネスは、意中のお客様にラブレターを出す経営です。もしかすると、フラれるかもしれません。それを覚悟で、こちらから動いていくことに意味を見出す経営です。
目指さない限り実現することはありません。狙わない限り当たることもありません。まずは先に動くという挑戦、リスクテイクマインドが大切です。
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