【第507話】高収益企業を目指すためにまず負うべきリスク

「売上は何とか保ってるんですけど、利益率がどんどん下がってきていまして…」と社長。

 

昨今、仕入材料の値上がりから、利益、収益性を落としている企業が増えています。コスト上昇分をしっかりと売価に反映していくことが大切である一方、ビジネスはお客様あってのことですから、価格改定といってもそう簡単なことではありません。

 

ちなみに、こうした状況にあって経営者が絶対に知っておかなければならないことがあります。

 

それは、売上を増やそうとすることと利益を増やそうとすることとでは、根本的な打ち手が異なるということです。

 

そもそも、経営者はどうしても売上規模を追ってしまいがちです。あるいは、店舗数や従業員数といったことも語られがちです。

 

しかし、利益について、経営者が人前で話されることは極めて稀です。

 

それはなぜかといえば、その答えはシンプルです。利益は経営の成績だからです。さらに加えれば、利益は一種の懐事情を表しているからに他なりません。

 

こうした経営成績という視点から見れば、経営が目指すのは売上高よりも利益、そして額よりも率が大切だということです。

 

一般に、モノづくり、エンジアリングといったビジネス分野で、高収益企業といえば、売上高に対する経常利益率の割合が10%を超えているような企業です。

 

面白いことに、この利益率10%超という数字は、これまで歴史に名を残してきたような名経営者方が共通して頭に描いていた水準です。

 

つまり、これらから分かることは、結果として利益が出たのではなくて、当初からこの数字、利益率の達成を目指して経営しているということです。

 

そして、この利益率を目指している理由も明らかです。借入金に依存しすぎることなく、稼ぎの再投資で自助的に成長の道を歩んでいこうとしている…ということです。

 

では、利益率を高めるための具体策は何なのでしょうか? それが「開発」です。高収益企業に共通するのは「開発型経営」だということです。

 

ここで、開発型経営について説明するためには、「モノを作る」にも2種類あることをお伝えしておかなければなりません。

 

まずは「客先から指示されたモノを作る」という下請品のモノづくり、もう一つは「自社で開発したモノを作る」という完成品のモノづくりです。

 

これが、売上を増やそうとすることと利益を増やそうとすることとの打ち手の違いです。

 

下請品のモノづくりは、あくまでも製造代行、製造力の現金化であるため、そもそも高収益は望めません。

 

一方、開発品のモノづくりは、開発費は要してしまいますが、その開発品や技術の用途展開で、開発費をはるかに上回る利益を生み出してくれる可能性があります。

 

言うまでもなく、開発費は先行投資になるためリスクです。それが後に投資以上のリターンを生み出してくれるかどうかわ分かりません。

 

しかし、これに賭けるしか高収益への道がないのも事実です。高収益を目指すならば自社製品の開発に賭けるしかない…のです。

 

そのためには、まずは少額であっても「開発費」を負担することを決めなければなりせん。

 

経営において、「開発費」負担を決意することの意味はとても大きいものです。「できることを現金化してきた請負型経営」から「できることを製品化して広く販売する開発型経営」への変貌です。

 

これが欲しかった…に先回りする開発意識が顧客からの感謝を生み、その感謝が利益となります。開発型経営は顧客から感謝される経営を目指すことでもあるのです。

 

言われたモノだけ作って、顧客の文句を言っていませんか?

顧客に感謝される開発型企業を目指し「開発費」リスクを取りませんか?

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