【第505話】理に適った売上利益の追求が経営に真の豊かさをもたらす
「成長発展は理に適っているか…、もう少しヒントを」とメルマガをご覧いただいている某社長殿よりご返信をいただきました。
どうやら、今考えている新事業について本当にこれで良いのか…と、スタートさせてしまう前にもう少し深堀しようとお考えのようです。
まずお伝えしておきたいのは、永く強い成長発展は、理に適っている…ことが条件です。
ですが、多くのビジネスが自然法則というよりも社会法則に依っているところもあり、そこに在る「理」が時代と共に変わっていく部分があったり、見えにくかったりというのもまた事実です。
こうした際、経営のこの先を考えていく上で「理に適っている…」かどうかの判断軸として大切なことがあります。
それは「本業意識」です。ここで、「本業」ではなく「本業意識」とお伝えしている点にご注意ください。「本業」と言ってしまうと、どうしてもいわゆる産業分類上の分類で考えてしまいがちですか、そうではないということです。
例えば、鉄の造船業だった企業が、その溶接板金技術を活かして建築業に転身している企業もあります。
こうした一見劇的に見える業態転換であっても、そこには核となる強みがあって、その応用展開でその先に歩みを進めておられます。
このように、ここでいう「本業意識」とは、業種業態といった分類ではなくて、世の中に貢献している核となる部分のことです。
これをもっと単純に言えば、自分たちは「何で飯を食っているか」ということです。
それは、“売上”と“利益”にしっかりと現れます。
もし、「売上になって利益をもたらしている」のであれば、それは本業意識から生まれている売上でしょう。
これは実に単純な話です。売上に付加価値が含まれているから利益が生まれます。
一方、「売上にはなっているけど利益にはなっていない」ならば、その売上は御社ではない他の誰かがやった方が良いビジネスです。
ハッキリとお伝えすれば、御社にとっての本業ではありません。
例えば、旅館の集客が乏しいので、空いている宴会スペースをコワーキングスペースとして運用しようとしたり、アウトドア用品を販売しているけど、販売が振るわないので、店舗内にカフェを設置する…といったことです。
さながら、持っているものの転用で何とか稼げないか、凌げないか…、本業を諦めているに等しいことですし、これらは副業と呼ぶべきことです。
負けを認めたくがないために、副業を新事業、業態転換といった言葉で飾るのは簡単なことです。
こうした、近視眼的な売上だけを目指した「新事業」は、例え売上になったとしても付加価値を生み出すだけの能力を有していない非本業領域であるため、利益をもたらすことは決してありません。
ちなみに、素晴らしい新事業や業態転換というのは、核となる強み、能力技術の用途展開から生まれます。世の中に付加価値をもたらし、御社に利益を生む豊かな売上です。
これと似た姿をしていますが、副業は、本来、本業に使うべきリソースを上手く使いきれないが故に、諦めて他に“転用”してしまっている状態です。リソースの貸出ですから、頑張ってコスト回収、疲れるだけで絶対に儲からない道です。
経営者としての創意とは常に本業の成長発展であり、副業での小銭稼ぎなどではないことをお忘れなく。
御社の売上は本業由来になっていますか?
すぐ隣にある副業の道に迷い込んでしまっていませんか?