【第504話】最もシンプルな成長発展の法則

「これは当社がやっていくべきことなので…」と社長。現在、新事業を大きく成長させておられますが、新製品の開発に着手した当時、こう仰っていたことが昨日のことのように鮮明に思い出されます。

 

経営を成長発展させる経営者に共通しているのは、こうした「やるべきこと」に対する認識の確かさです。

 

では、優れた経営者は、こうした「やるべきこと」、確かな道筋をどのように見出されているのでしょうか?

 

実のところ、そこには確固たるパターンが存在しています。まずその答えを伝えてしまえば、「その先…」だということです。

 

これをもう少し詳しくお伝えしていきましょう。

 

まず、新製品、新事業、拡大投資といった成長戦略を考える場合、必ず議論になるのが、その検討範囲です。

 

何といっても新事業ですから、これまでとは全く異なる製品事業分野も含めて検討すべきだという意見があります。

 

この意見は、成長の可能性を広く見ようとするものですし、もし他にも可能性があるのならば、それをみすみす逃すのか…といったものであり、一理あることです。

 

その反対に、現有の強みを活かして応用展開、進歩発展を図っていこうという意見です。

 

こちらの意見は、自分たちには自分たちに与えられた使命があるのだから、それを全うすることを優先して、地道にでも前に進んでいこうというものです。

 

弊社では、モノづくり、エンジニアリング業、理系ビジネスを念頭に、後者の意見を強く推奨しています。

 

経営戦略論的にいえば、いわゆる、コアコンピタンスやリソースベースドビューといった立場です。

 

例えば、京セラ社の本社2階に開設されている「ファインセラミック館」には、これまでに開発してきた製品や技術開発の変遷が年表として展示されています。

 

面白いのは、それぞれの技術には系譜ともいえるような発展の軌跡があり、それがこの年表に描かれていることです。

 

大切なことなのでもう少し補足すれば、成長発展の軌跡は、枝分かれすることはあっても「つながっている」のです。

 

つながっている…とは、飛び石を打たず、しっかりとした筋道の「その先」に歩みを進めてきているということです。

 

なぜ、多くの成長発展で同じくこうしたことが見られるのかといえば、それは偶然ではありません。

 

それは、理に適っている…からなのです。

 

少し大げさなことを言えば、進歩発展とは“自然の摂理”を悟ることであり、そこから外れたことが永く強い成長発展をもたらすことなど無いのです。

 

こうした法則を、名経営者の中には「宇宙の法則」と呼ぶ方もいらっしゃるほどです。

 

もっと知っていきたいという探究心は、謙虚な意味で言うならば、これまで分かってこなかった“自然の摂理”に対する理解でしかありません。

 

特許の取得といったことも、確かに高度な技術的思想の発明であったとしても、それもあくまでも壮大な“自然の摂理”の一部の発見でしかありません。

 

新事業が、単なるカネ集めに留まることなく、真の意味で「その先…」を目指すものであるならば、これまでを起点に「その先」に独自の推察や仮説を描き、それに賭けてみる意識が大切です。

 

御社のその先…は、理に適っていますか?

これまでを大切に、その先…を描こうとしていますか?

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