【第502話】新事業立上げを成功させる挑戦目標の在り方
「あの時、考え方を変えておいて良かったです」と社長。新たなビジネスをあっという間に10億ビジネスに成長させられました。
それ以上に素晴らしいのは収益性です。いわゆる高収益、高い利益率を保って成長されています。
こちらの社長、あの時…何を変えたのかといえば、経営に対する考え方です。
過去、商品として本物を追求してきた系譜はそのままに、いわゆる事業モデルとしての考え方を大変革されました。
まずは、アセットライトな事業モデルの構築。これまで大規模な設備投資の負担を経験してきたことから、これからはアセットライトにスリムなバランスシートで事業を組み立てることを計画しました。
つまり、自社で持つ設備は最小限とし、多くの機能をアウトソースすることで事業立上げを目指されました。
続いては、事業モデルにおける販売面。当初から他社流通に頼らず自社で販売することを念頭に販売マーケティング面での事業モデル構築を目指しました。
具体的には、ネット販売を中心に自社で売るところまでを事業立上げの目標とし、商品を作った、あとは流通さんに売ってもらう…とは考えませんでした。
この自分で売ろうとする意識が、新商品の完成度を磨き上げ、今の成功に結び付いています。
新事業の立ち上げという挑戦領域にあって、その中身ともいえるスローガンは大きく二つあります。
それは、「変える」と「創る」です。
昨今、事業プレゼンの場で、世の中を変える、業界を変える…といったフレーズを良く聞くようになりました。
経営者は未来を考えるのが仕事であり、そのためにリスクを取っていかなければならない存在です。
ですから、こうした未来を「変えてやる」ということを自分起点で他者に働きかけていこうとする能動的な姿というのは素晴らしいことです。
ただし、そこには大切な条件があります。それは、ご自身も変わっていこうとしているか…ということです。
変える…という叫びは、逆からいえば、まだ変えられてない…ということです。ですから、そのために自らがどう変わっていこうとしているのか…を伴う必要があるのです。
そういう意味で、むしろ大切なのはこれまでの実績です。これまでに何をしてきたのか、どんな努力を積み上げてきたのか。どんな挑戦をしてどう乗り越えてきたのか…といったことです。
そして、世の中を変えていくためには、その思想的な違いを商品サービスで表現しなければなりません。立派な意識とフツーの商品…では勝負になりません。
多くの先行するメジャー企業と同質化してしまうことを避けるために、自社は後発のマイナー企業で、これらメジャー企業に挑み、これまでを変えていく…といった経営思想は商品サービスを購入するお客様には関係のないことです。
そうした思想的な違いは商品サービスにまで落とし込んで表現すべきことです。そして、その商品サービスをお客様にご購入いただくということが賛同の証といえることです。
こう考えてくれば分かることがあります。それは挑戦とは、何かを「変える」ためにも、独自性豊かな商品サービスを「創る」ことであると。
もっと理想を目指し、さらに真理を探究し、新たな商品サービスを創り出すことこそが、結果として世の中を素晴らしい方向に変えていくことにつながります。
目標は「変える」よりも「創る」になっていますか?
そのために、まずは自らの考え方を変えていますか?