【第501話】経営の“こだわり”をしっかりとした稼ぎに変える方法

「ここまで考えてるのに“こだわり”を伝えるのって難しいですよね」と社長。これまで不発だった新商品が売れ始め、今までの苦労が巡っているようです。

 

当然のことながら、どんな商品サービスでも、事業でも、経営者は一種の“こだわり”を持って事業にあたっています。

 

ただし、その“こだわり”がしっかりと稼ぎに転換できているか…といえば、残酷なほどにそれがほぼ経営成果の違いとなって現れます。

 

皆それぞれ、しっかりとこだわってる…のに、なぜ成果に大きな違いが生まれてしまうのでしょうか。

 

そこには、純然たる収益性原理が存在します。

 

まず、ビジネスの型に対する理解です。ビジネスには大きく2つの種類があります。それは「作る」と「売る」です。

 

ここで「作る」ビジネスとはいわゆる製造業です。材料を仕入れて加工製造して商品にして販売しています。

 

無論、製造した商品は販売していますので「製造販売」になる訳ですが、あくまでビジネスの軸足は「製造」です。

 

続いて「売る」ビジネスとは小売業や販売業のことです。商品を仕入れて販売する、あるいは特定の商品についてその販売を行うといったビジネスです。

 

こうした「売る」ビジネスは、売る商品自体は決まっていて、それを欲しいお客様にお届けするような役割を担っています。

 

そういう意味で、ビジネスの“こだわり”は、大きな意味で「作り方」か「売り方」での表現になってくるはずです。

 

ところが、多くの“こだわり”が表現を間違います。

 

ちなみに、「作る」ビジネスにおける“こだわり”とは「作り方」であり、その作り方から生み出される商品価値です。

 

そうであるにも関わらず、「弊社の商品は材料にこだわっている」といったことが平然と語られます。

 

少し考えれば分かることですが、材料の選定は目指すべき商品価値から逆算して決められるべきことです。

 

そもそも、良い材料を使ったからといって良い商品になるとは限らず、本来、自社で考えるべき商品価値を、仕入れ材料に頼ってしまっているという点で、その“こだわり”が「作る」ビジネスの放棄を宣言してしまっていることに気付くことが大切です。

 

あるいは、商品価値が材料頼りになっているという意味で、その本質は流通業であり、「作る」ビジネスとしての“こだわり”表現になっていないのです。

 

一方、「売る」ビジネス、流通業、販売業における“こだわり”とは、売り方によるものです。具体的には、取り扱う商品範囲や販売方法への“こだわり”で表現されることです。

 

それならば、ビジネスの型の違いによって、こだわるべきポイントや表現が違ってくることは当然のことといえるでしょう。

 

こうした整理を前提とした上で、“こだわり”表現で最も大切なことは何でしょうか?

 

それは、新しい、違い…といったことではないということです。

 

むしろ、これまでにも大切にされてきた概念をその先にまで進歩発展させたところに真の“こだわり”は存在しています。

 

人と違うことをやるだけなら、それはとても簡単なことです。先人達が追い求めてきたその先にこそ真の“こだわり”領域が無限に広がっています。

 

モノづくりの“こだわり”が流通業になってしまっていませんか?

新しくも違ってもいないその先に御社らしい“こだわり”を見据えていますか?

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