【第472話】成長発展への道、次なる打ち手の選び方・育て方

「新しく始めた事業、もう5年ほど経つんですけど鳴かず飛ばずの状況が続いてまして、一度、全体を診てもらえませんか…」と社長。

 

なんでも、担当の役員とも議論を重ね、渾身、新商品を企画開発して、自社で販売に取り組んできましたが、これまで良くてトントン…の状況とのこと。

 

これを逆から見れば、こちらの新商品、そこそこ売れてはいるのです。

 

トントンまで持ってこれていますので、このビジネスを当面は続けていくことができますし、全く売れない…ということが起こり得る新事業、新商品の世界にあって、まずますの結果を出していると言えます。

 

面白いことに、こうした悪くはないけど“トントン”の状況というのは、経営者にとってまあまあのストレスになるということです。

 

というのも、ハッキリと赤字であれば、なにくそと奮起するエネルギーになりますし、あるいは、ガッチリと黒字であれば、だから言っただろと鼻息荒く美味しいお酒を飲むこともできるようになるからです。

 

まあ、この気持ちはとても良く分かります。経営者というのは栄枯盛衰の世界、不確実な世界で自ら未来を切り拓いていこうと、あえてリスクある新事業への投資を行っている訳です。

 

ですから、経営者にとって、結果がトントン…は、勝負してみましたが負けはしませんでした…という結果的メッセージであり、何らかのリスクを取った結果がそれであれば、納得できない気持ちになることは理解できることです。

 

このため、トントン状況に何らかのテコ入れが必要とお考えですが、こちらの社長、素晴らしいのは、「良い売り方はないか」、「売れそうなチャネルは」、「有効な広告は」といったことを仰っていないところです。

 

大切なことなのでもう少し補足すれば、販売を伸ばそうとするにあたって「売り方」だけに留まることなく、「売り物」にまでさかのぼって「診てくれ」と仰っているのです。

 

稀に、「なぜこの事業を始めたのですか?」とお聞きすれば、「先輩経営者から君もやった方がいいよと言われて始めました」といったお返事が…。

 

こうしたお返事から分かることは、商品は何であれ、商売の“やり方”を教えてもらえさえすれば、やれる商売があるということです。

 

例えば、フランチャイズに加盟するといったことです。ここでもう一つ分かることは、そうしたビジネスを本部として作っているビジネスがあるとうことです。

 

要は、“やり方”を考えて創っている人たちがいて、こうした方々は“考え方”のレベルでビジネスを準備しています。

 

また、こうしたお返事は小売業やサービス業といった分野では耳にすることはあっても、製造業の分野でまず耳にすることはないことです。

 

このことから分かるのは、製造業のような“売り物”ビジネスと、小売業のような“売り方”ビジネスがあるということです。

 

新事業展開を考える際、これら2つの軸を分かった上で、打ち手を選んでいくことが大切です。

 

新たな商品“売り物”を目指すのか、在る商品の新たな“売り方”を目指すのか…。

 

また、それらのレベル感として、“やり方”レベルで再現しようとするのか、あるいは“考え方”レベルにまで高めていくことを目指すのか…。

 

新事業の目指す方向性を考えていく際、「売り物-売り方」軸も大切ですが、それよりも大切なのが「考え方-やり方」軸です。

 

後者は、ビジネスの難易度であり、それを上げていくことを目指す意識が、自社を本物の成長に導いていくことにつながるものであり、真の意味で挑戦に値する道といえるでしょう。

 

新事業、御社にとって新しい…だけですか?

その新事業は、どんな難易度を目指していますか?

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