【第471話】経営に大切な高い目標の掲げ方

「いよいよ、自社独自のサービスに転換していくべき時期なのかなと、腹をくくりまして…」と社長。

 

創業の社長、順調に成長路線を歩んでこられましたが、ここにきて急ブレーキ。提供するサービスの拠り所となる制度的なことに変更があり、経営がちょっと放ってはおけない状況になり、いずれ…と思っていたことに一歩目を踏み出そうとされています。

 

世の中は進歩発展の法則の中にあって、それらは無常にも厳しい経営環境をもたらすこともあれば、新たな事業機会を生み出してくれることもあります。

 

栄枯盛衰の事業経営の世界にあって、変化こそピンチの原因でもあり、同時にチャンスを生み出すものでもあります。

 

ビジネス、商売を考えるにあたって機会にも脅威にもなり得る「世の中の変化」ということを考えると、大きく二つの視点で考えることができます。

 

それは、“社会法則”と“自然法則”です。

 

ここで社会法則による事業機会とは、新たな社会的要請や法令条例の施行といったことによって新たな事業機会が生まれるようなものです。

 

例えば、SDGsといった目標が掲げられることで、その目標と現状のギャップが新たな事業機会となったりすることです。

 

あるいは、労働者派遣法によって特定の専門業務に派遣という働き方が生まれたり、個人情報保護法が施行されたことによって企業に個人データのセキュリティ義務が課せられたり…といったことによって、新たなビジネスが生まれるようなことです。

 

一方、自然法則による事業機会とは、もっと普遍的な自然法則の解明を進める中でその技術の応用といったことで新たな事業機会が生まれることです。

 

こうした社会法則や自然法則の進歩発展によって生まれる事業機会というのは、複合的であるために、一見、どちらに軸足が置かれているのか分かりにくいことがあります。

 

例えば、二酸化炭素排出量を抑制するということに対応した自動車のアイドリングストップといった対応です。

 

確かに、車が停止している間にエンジンが回っていると、その分、ガソリンを燃焼して二酸化炭素を排出する…といったことでアイドリングストップという対応策が新たな機能として開発されています。

 

ところが反面、エンジンを止めてしまうとオイルポンプも止まってしまい、エンジン各部へのオイル供給が途絶えてしまう、エンジン自体へのダメージや制御油圧が下がってしまうといったことが起こり得ます。

 

このために、エンジン駆動ではない電動駆動のオイルポンプが追設されたりする訳ですが、これは技術的視点から考えて無駄な装置であることは明らかです。

 

ビジネス、商売の強く永い存続発展を望むならば、短期的には社会法則によって生まれる事業機会に対応しつつも、基本路線としては永く普遍的な自然法則によって生まれる事業機会にフォーカスしていく意識が大切です。

 

こうしたことを、優れた経営者は、「確かなことへの帰属」とか「ちゃんとした処」といったことでご説明されます。

 

年間に公布される法律は100を超えます。こうした人間が作るルールも必要性に対応しているという意味で大切なことではあるのですが、こうしたことが拠り所となる事業機会というのは、所詮、人が作っただけのこと。永いものではありません。

 

こうした事業機会の根本的な違いに想いを馳せ、当社は、どういう事業機会を目指していくのか、そこでどういう目標を掲げるのか…。

 

高い目標を掲げるのであればなおさら、その目標がどのような事業機会に向いているのかが大切です。

 

経営のハンドリングは普遍的な“自然法則”に向いていますか?

事業機会の違いを分かった上で目標を設定していますか?

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