【第469話】その新事業、毒入りのジェリービーンズかもしれません!

「この前、大先輩方から厳しいご意見をいただいたアレについて、ちょっとご相談に乗っていただけませんか?」と若き気鋭の経営者からのご連絡。

 

以前から、とある新事業の立ち上げでお付き合いもあり、近況などお聞きしたいこともあって、お会いする運びとなりました。

 

そして、ここが接待の最終兵器だという焼肉店にお連れいただき、食事をしつつ、近況などもお聞きしながら、ざっくばらんにお話させていただきました。

 

そして、その新事業については大先輩方のご意見と同様、今のままでは相当に厳しい…ということをお伝えしました。

 

同時に、どんなビジネスでも本気であればやりようはあるとも…。経営の面白さは、万策尽きることがないところにあります。時代が進んでいくことによって、常に新たな市場が生まれていく…。そこにまた新たな創意工夫の余地が生まれます。

 

これは、経営側が仕掛けて生まれることもあれば、同様に、顧客側、市場側の意識の変化が新たな市場をもたらしていくこともあるでしょう。

 

面白いのは、同じ新事業アイデアであっても、「素晴らしい」と言われることもあれば、「それは止めておいた方がいい」と否定されたりと、両極端な意見が起こることです。

 

なぜ、同じビジネスなのに、こうも意見が分かれるのか…。こうした“意見が分かれるビジネス”には共通点があります。

 

それは、ず~っと昔からある商売だということです。こうした商売というのは、昔からあるが故に、一見、商売になりそうに見えるものです。

 

このため、親戚のおばちゃん、ビジネスを起こしてもらえる地域の方々、あるいはテナントの大家さんといった方々は、やって欲しいので「素晴らしい」と言います。

 

そして、こうした経営に明るくない方々の集いほど、話は盛り上がるので、やれそうな気がしてしまいがちです。

 

こうした際、経営者であれば知っておきたいことがあります。それは「無責任な話ほど盛り上がる」ということです。

 

こうした盛り上がりを、弊社では「毒入りジェリービーンズ」と呼んでいます。

 

ジェリービーンズは、昔からあってみんな大好き。今もグミなどと名前を変えながら、硬さやフレーバーのバリエーションを増やしながら、コンビニやスーパーで大きな陳列スペースを獲得し続けています。

 

ですから、ジェリービーンズを作りさえすれば売れるだろう…と考えてしまいがちです。それを喜んでくれる方々の前で話せばそれは喜んでくれるのです。悪気のない毒ほど怖いものはありません。

 

一方、これまでに厳しい経験を積んできた経営者というのは、売上になることと、そのビジネスを採算に乗せることの違いを痛いほど分かっておられます。

 

その新事業を始めれば、多少の売上は獲得できるだろうが、その売上は短期的に見て採算に乗るほどのものだろうか、中長期的に見て投資回収が見込めるものだろうか、借入金の返済に苦慮しないキャッシュ構造になっているだろうか…。

 

こうした採算視点や資金繰りで、ビジネスを評価する目を持っています。ですから、こうした目を持っている人と持っていない人で見ている視点が違うために、意見が真反対になるといったことが起こり得るのです。

 

経営者であるならば、ビジネスを採算に乗せていくのが役割です。そしてそれを中長期的に存続発展さいせていくことは使命です。

 

取り組むだけであれば、誰にでもできることです。そんなこと…を採算に乗せてみせる「夜鳴きうどん屋の経営」が経営者の才覚です。

 

古くから続いている商売だから参入しても何とかなるだろう…は幻想です。古いからこそそこに在る創意工夫競争はとても厳しいものだということを理解しておくことが大切です。

 

創意工夫に挑戦しようとしていますか?

これまでを超えていくことを見据えていますか?

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