【第458話】商売繁盛に欠かせない専門性の発揮法

「そこまで深く考えずにやってしまっていましたが、すぐに修正しないとマズいですね。大きな広告を打つ前で良かったです」と社長。

 

企業情報、事業ドメイン設定、商品サービス説明にあたって、総合、トータル、ワンストップ、幅広く…といった言葉を使わないようお伝えしています。例えば、「オフィストータルサポート」といったことです。

 

なぜそのようにお伝えしているかといえば、もちろんいくつかの理由があります。

 

まず、これはむしろオフィス“専門”と呼ぶべきことだということです。総合やトータルではなく、経営のウリとしてはその専門性として訴求すべきことです。

 

続いての理由として、総合、トータル…といった表現は、取り扱っている商品、商材のラインナップが幅広いという流通販売の部分に焦点の当たった主張だという点です。

 

このため、お客様に最適なオフィス提案ができるという、本来主張すべき付加価値部分に焦点が当たらなくなってしまうからです。

 

そして最も大きな経営上の問題は、総合、トータル…といった主張は、「それに関する仕事があったら言って」、「言ってもらえれば何でも対応するから」という文脈から、結果「お値段も勉強させていただきます」と言っているに等しいからです。

 

大切なことなので補足すれば、なぜ、総合、トータル…といった言葉を使いたくなってしまうかといえば、経営意識が請負型だからなのです。

 

顕在化した仕事を「ください」と言っています。そしてその対応可能な範囲が広いです…ということを、総合、トータル…と言っているだけだということです。

 

請負型経営は“キャッチャー”に似ています。「どんな球でも投げてくれればキャッチするから」という経営姿勢です。

 

一方、提案型経営は“ピッチャー”です。自らの専門性を活かしてお客様のお役に立つ商品サービスを企画しそれを市場に投げ込んでいきます。

 

こうしてまだ顕在化していなかった、お客様もまだ気付いていなかったニーズを生み出し、自社でその市場自体を育てていくことを目指されます。

 

ですから、提案型経営の経営者は、お客様に向かって球を投げて、興味を持って受け取ってもらえるような球の名前を自社の専門性の立ち位置から考えようとします。

 

これは、総合やトータル…といったこととは頭の使い方が真逆であることは言うまでもないでしょう。

 

ここで大切なことは、本当に専門性を核にビジネスを組み立てている経営は、この専門性について「〇〇専門」などとは言わないということです。

 

例えば、「とんかつ いもや」と「とんかつ専門 いもや」の違い、お感じになられるでしょうか?

 

前者は、とんかつ、和食の料理修行をした人がやっているお店。後者は、とんかつをメインに取り扱っているお店というニュアンスの違いです。

 

モノの名称で「〇〇専門」という場合、それを取り扱っている流通小売ビジネスを想起させてしまうということです。商品サービスに特段の違いはない…と言ってしまっています。

 

本当に専門性を活かしてビジネスを組み立てようとされている経営者は、ビジネスがプロダクトとマーケットの組合せによって成り立っていることを知っています。

 

ですから、専門性の取り方も、プロダクトに留まらずマーケットに寄せて、お客様が受け取りやすい球を投げようとするものです。

 

「弊社は“ヘッドフォン”メーカーです」とは言わず「弊社は“サウンドクリエイト”の会社でヘッドフォンなどを作っています」と。

 

専門性とは取り扱い商材の範囲などではありません。ビジネスの付加価値を生み出す部分のことであることをお忘れなく。

 

自社の言葉で専門性を語れていますか?

総合、トータル…はすぐに止めませんか?

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