【第455話】経営を高める結果とプロセスのマネジメント法
「これからは、自分たちで計画を立てて目標に向かっていきますので、引き続き、よろしくお願いいたします」と社長。
新事業が立ち上がり、今後はそれを如何に育てていくか…。その先をどのように歩んでいくのか…。そうしたことを“計画”していく力が問われるステージまで登ってきました。
当然のこと…とお感じの方も多いかと思われますが、本当の意味で“計画”を立てられている企業はそう多くないのが実情です。
実際、経営が手詰まりになるというのは“計画”不足であり、その根本原因は常に一つです。
それは、「経営が世の中に操縦されている」からに他なりません。経営者自らの意志が明確ではなく、何となく世の中の要請に合わせながら漂流しているから、いずれ遭難するのです。
一方、優れた経営者は、明確に目標を定め、その達成に向けてチームメンバーに貢献と規律を求めます。事業経営において理念や目的目標といったものが大切なのは、このためです。
例えば、草野球チームの目標は「趣味野球で楽しむ」であったり、もう少し強いチームであれは「関東大会優勝」といったことが目標かもしれません。
趣味野球のチームで「関東大会優勝を目指そう」などと言い始める人が出れば、「ウチのチームが大切にしているのはそういうことではない」という空気感が漂うことになるでしょう。
あるいは、とあるプロ野球チームの監督が就任の際、「優勝は目指さない」と発言し話題を呼びました。これはプロ野球チームの運営目標を“スポーツ”ではなく“興行”と位置付け、スポーツの探求よりも観客を楽しませることの方が大切という斬新な目標設定といえます。
スポーツが興行であるという視点で見れば、プロレスなどはその典型です。プロレスは興行、ショーです。それは、格闘技として何でもアリを本気でやってしまったならば、それは選手の命に関わることになるからです。
ただし、鍛え上げられた肉体、訓練された技…といったことで聴衆を魅了するところにその醍醐味があります。
プロスポーツは、スポーツなのか興行なのか…。スポーツのビジネス化が進む昨今、今後さらに大きな議論を呼びそうです。
大変話はそれましたが、事業を経営していくにあたって、その目標設定はリーダーにとってとても大切だということです。
稀に、プロジェクトメンバーの方から「ウチの社長は厳しいので」とグチられることもありますが、「厳しくない社長の下で迷走するより厳しい方が幸せですよ」とお伝えしています。
新事業、新製品、新市場…プロジェクトマネジメントにあたっても同様、目標の設定が大切です。どんな結果を求めるのか、こうした状況において「目標の達成=結果」だからです。
ただし、結果だけが出れば良いかといえば、そうではない…という感情が必ず芽生えてきます。その際、必ず出てくるのが「プロセス」です。
いわばプロジェクトマネジメントにおいて大切なのは、結果なのか、プロセスなのか…という議論です。
なぜ、プロセスが大切…という議論が生まれてくるのか。それは、“学習”がキーワードです。
今できる程度の能力を使って出した結果なのか。あるいは結果を出すために相当の努力を払って“学習”したのか…ということです。
その意味で「プロセスが大切」とは、学習努力を伴っているかどうかの程度と解釈することができます。
永い目で見れば、事業経営においてプロセス、つまり学習が大切です。そのために経営計画は、目標設定とその達成に向けた“学習の軌跡”をどのように描くか…という視点から、目標結果とプロセスを考えていくことが大切です。
目指す結果、目標は具体的ですか?
その達成のためのプロセス“学習の軌跡”を計画していますか?