【第444話】高収益を生み出す独自性の発揮法

「この業種ですと、平均的にどんな感じなんでしょうか…?」とのご質問。新事業立上げのお打合せで、良く聞かれるご質問です。

 

当然のことながら、経営者であれば、他社さんや世の中の動きが気になるものです。

 

実際、お客様を訪問してお話を聞いてくることを「パトロール」と命名して、自ら計画的に動かれている経営者もいらっしゃるほどです。

 

ちなみに、こうした他社動向についてのご質問というのは、実のところ他社さんのことを聞いているのではありません。

 

では何を聞きたいと思って質問されているのでしょうか? その答えはとても人間らしいものです。「これから、どの程度、頑張らないといけないんでしょうか?」ということです。

 

いかがでしょうか? この気持ち、とても良く分かります。ということなので、こうした際にお伝えしているのは、とある名門企業の「製品ライフサイクル」のお話です。

 

とある企業の製品ラインナップのうち、大きく収益性に貢献している新製品は2割、収益性はボチボチだけど引き続き売れている製品が6割、もう収益は出ないものの製品ラインナップとして外せない製品が2割です。

 

こんな割合で、各製品の新陳代謝が概ね5~10年で進んでいます。

 

こうした状況を考えれば、収益性を高めるための方策は2つです。「収益性の高い新製品の投入割合を高めること」、もう一つは「既存製品の製造コストを低減させること」です。

 

よって、こちらの企業では、新製品の開発目標を「3割」と設定し、開発スピードの向上に取り組まれています。

 

では、なぜこちらの企業の製品ラインナップの事例をお伝えしているのかといえば、それには当然理由があります。

 

その理由とは、こうした製品の収益性分布が企業の収益性分布にもほぼそのまま当てはまるからです。

 

仮に、世の中の企業の3割が黒字とすると、それを収益性で偏差値に例えれば「55」ということになります。そして、高収益企業がトップ5%とすると偏差値は「65」あたりになるでしょうか。

 

ここでお伝えしたいのは、新事業の開発目標が「業界の平均像」であったならば偏差値50、採算を生み出す水準に届いていないため負け戦になるということです。大切なのは売上規模ではなくて収益性、採算の具合です。

 

こうした理由から、新事業の構想は、完成度を高めていくために創意工夫を重ねながら煮込んでいくことが欠かせません。平均でスタートしてしまったならば、これまでの努力が無駄になってしまうからです。

 

ただし、商売の面白さは「他人の創ったレールの上だけで勝負する必要もない」ということです。これはとても大切な機会意識です。勝負の軸が様々あるのです。

 

こうしたオリジナルな勝負に挑むためには、世の中を見渡して、自分で問題を考えることです。自分で問題を出して自分で解く意識が大切です。

 

つまり、自社が解けば収益性偏差値が65になるような問題、自分たちが得意な問題を設定すれば良いということです。これが強みを活かすということです。

 

問題がオリジナルだからオリジナルな解答が生まれます。みなと同じ問題を解いて、違う答えを出そうとするのは、そもそも無理筋というものです。

 

我々は、(顕在化した)こうした問題の解決に取り組んでいます…、こう叫んだ時点でその解答も大方決まってしまいます。市場に従属的すぎるため、経営がいつまで経っても世の中の下請けになってしまいます。

 

誰かの出した問題に「解きます」と手を挙げるのか、自ら問題を設定し解こうとするのか…、解答者か出題者か…、経営の根本が違います。

 

他社と同じ問題をヘンに解こうとしていませんか?

新事業の問題意識は与えられたものではなくご自身で設定しませんか?

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